ステレオサウンドについて(その3)
ステレオサウンド 41号には、次の号がいつ出るのかという予告はなかった。
巻末にバックナンバーの紹介ページがあって、年に四冊出ていることはわかったから、
春には42号が出るのはわかっても、正確な発売日がわかったわけではなかった。
1977年春、42号が書店に並んでいた。
表紙はヤマハのCA2000とラックスのPD121にSMEの3009S2の組合せ。
手前にはハーマンミラーの椅子。
迷わず購入した。
42号の特集はプリメインアンプだった。
岡先生、菅野先生、瀬川先生が試聴を担当され、実測データが載っていた。
一機種あたり五ページが割かれていた。
写真とスペック、機能一覧表で一ページ、
三氏の試聴記で一ページ、
実測データと、井上先生と上杉先生によるテクニカルリポートが三ページあった。
プリメインアンプだけで、ずっしりとボリュウムのある特集だった。
試聴記もテクニカルリポートも、実測データも何度も読み、何度も見た。
一台のアンプをどう捉えるのか。
そのことを学べた一冊だった。
まだ中学生だった私には、当時のステレオサウンドは読み応えがほんとうにあった。
次の号が待ち遠しいという気持とともに、三ヵ月というスパンはちょうどいいようにも感じていた。
42号の奥付には、43号の予告があった。
そこには6月上旬発売予定、とあった。
ここでステレオサウンドの発売日がなんとなくわかった。
3月、6月、9月、12月なのだ、と。
上旬とあるから、43号は6月10日までには出るものだと思った。
6月になると、毎日のように書店に行った。
10日になっていないのだから、まだ出ていなくともしょうがないのはわかっていても、
上旬だから5日ごろに出てもおかしくはない。
今日もない……、そう思う日が続き、
10日になった。まだ書店には並んでいない。
そうなると、さらに一日一日が待ち遠しい。
当時は20日すぎが発売日だった。上旬ではなく中旬でもなく、下旬だった。