Date: 12月 24th, 2015
Cate: 再生音
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続・再生音とは……(その19)

オーディオは2チャンネルのシステムが基本になっている。
録音も再生も、基本的には2チャンネルであり、
ステレオといえば2チャンネルによる録音再生システムということになる。

2チャンネルシステムは、聴き手の錯覚を利用している(錯覚に頼っている)ものである。

この錯覚があるからこそ、家庭という限られたスペースで、
ときにはナマをこえているのではないだろうか、と思える音で音楽を聴けることもある。

人間は錯覚をする動物なのだろう。
グレン・グールドそっくりのアンドロイドのピアニストが、
ステージにあらわれピアノを弾く──、
そういうコンサート(コンサートと呼べるのかどうかは便宜上省く)を聴いている(観ている)人たちには、
どういう錯覚が起っているのだろうか。

錯覚は起っていない、とは私は思わない。
錯覚の科学については専門家ではないから、詳しいことは何も書けないが、
なんらかの錯覚は、この場合でも起るような気がしている。

KK塾三回目の講師、石黒浩氏によると、
桂米朝師匠の米朝アンドロイドによる寄席のチケットは、約一時間ほどで毎回売切れになるとのこと。
落語の人気がそれほどあると思えない。

それはやはり米朝アンドロイド見たさに来る人が多いからなのだろうが、
それでも米朝アンドロイドによる落語が始まると、皆聞き入っている、とのこと。

来る人は皆、米朝アンドロイドによる落語だということはわかっている。
それでもそういう状態になるということは、ほぼすべての人が錯覚を起している、ということなのだろう。

この錯覚はいったいどういうものなのか。
2チャンネルのシステムで起る錯覚と、どこまでが同じで、どこからが違うのか。
素人頭で考えている。

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