オーディオ機器を選ぶということ(購入後という視点・その2)
オーディオマニアの訪問記事は、
オーディオ雑誌には昔から載っている。
ステレオサウンドにもある。
以前は特集で、訪問記事がつくられていた。
例えば15号。1970年6月に出ている。
15号の特集は「人とオーディオ──再生装置をめぐって」だった。
26号(1973年3月発売)もそうだった。
「音の美食家をめぐる」という特集だった。
それから1980年代にはいり、菅野先生によるベストオーディオファイルが始まった。
このベストオーディオファイル訪問が、のちのレコード演奏家訪問となっていく。
五味先生のオーディオ巡礼も訪問記事といえば、そういえる。
ステレオサウンド以外のオーディオ雑誌にも訪問記事はたびたび登場する。
いわば訪問記事は定番といえるものだった。
その訪問記事を、昔は訪問記事として捉えていた。
購入後という視点で捉えたことはなかった。
おそらく訪問記事をつくっている編集者も、
訪問記事を購入後という新しいカテゴリーとして捉えた上でつくっている人はいないようにも思う。
ここ数年毎年いわれていることに、出版不況がある。
今年は本の取次ぎの最大手である日本出版販売が、本業で初の赤字になったというニュースがあった。
雑誌が売れない、ともきく。
書店の数も減っているようだ。
私が住んでいる国立も今年、駅前にあった書店が閉店した。
隣駅の立川には、多摩地区では大手の書店が新しい店舗をオープンしている。
だから書店の数の増減ははっきりとは私にはわからないけれど、少なくとも個人書店は減っている。
その理由として、いくつかのことがいわれている。
それらのことを検証するつもりはない。
ただインターネットの普及が大きく関係していることは確かである。
そのインターネットには、雑誌にはない(無理な)点がいくつもある。
そのひとつが、購入後である。
けれど、この購入後は、雑誌でもやっていけることである。
そして、インターネットには、基本的に編集者が購入後には存在しない。
雑誌には編集者が、そこにいる。
ならばインターネットの購入後とは違う、雑誌ならではの購入後の展開が可能なはずである。