Date: 7月 20th, 2015
Cate: ロマン
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ダブルウーファーはロマンといえるのか(その4)

そういえばUREIのModel 813もダブルウーファーである。
メインとなるユニットはアルテックの604-8G。

あらためて説明するまでもないが15インチ口径ウーファーとホーン型トゥイーターとの同軸型。
これに同口径のサブウーファーをつけ加えている。

このサブウーファーの特性が604-8Gのウーファー部よりも、
より低域の再生限界の拡充した設計であるのかどうか。

UREIの資料からだけは、はっきりしたことは読みとれないが、
ステレオサウンド 47号の「物理特性面から世界のモニタースピーカーの実力をさぐる」をみれば、
はっきりとしたことが実測データから読みとれる。

47号の前号の特集で取り上げられたモニタースピーカーを中心に、
三菱電機郡山製作所の協力で測定を行なっている。

アルテックの620AもあればModel 813も含まれている。
そして測定データには近接周波数特性が載っている。
これはウーファー部分の周波数特性のグラフであり、
バスレフ型ではポートの特性、パッシヴラジエーターを採用しているものはそのデータも測定している。

620AとModel 813の近接周波数特性を比較してみると、
まずウーファーのカットオフ周波数が異っていることがわかる。

620Aのクロスオーバー周波数は1.5kHzと発表されている。
近接周波数特性をみても1kHzあたりから減衰している。
下は100Hzあたりから減衰がはじまり、バスレフポートの共振周波数は40Hzあたりにある。

Model 813はクロスオーバー周波数は発表されていない。
少なくとも私が知っている範囲ではなかった。

近接周波数特性をみてわかるのは、900Hzより少し低い周波数から減衰が始まり、
その減衰カーヴも急峻であることが読みとれる。

サブウーファーの特性はどうだろうか。
これが見事なくらい604-8Gのウーファー特性と似ている。
よくこれだけ似た特性のウーファーがあったものだ(見つけてきたものだ)と感心してしまうくらいだ。

サブウーファーは200Hz以上で減衰している。
Model 813のバスレフポートは単なる開口部ではなく、
UREIが疑似密閉型と称する音響抵抗をかけたタイプである。

そのためポート出力はゆるやかな山を描いている。
共振周波数は620Aとほぼ同じ40Hzあたりにある。

620AとModel 813の低域の周波数特性を比較すると、
後者のほうがより低いところまでフラットではある。
けれどこれはダブルウーファー仕様だからというよりも、
疑似密閉型のバスレフポートの設計のうまさとみるべきだ。

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