私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その33)
カートリッジにはヘッドシェルと一体になったモノがある。
EMTのTSD(XSD)15がそうだし、テクニクスのEPC100Cもそうである。
オルトフォンのSPUも、Gシェル、Aシェルどちらも本体をカートリッジ本体取り外して、
アダプターを介すれば他のヘッドシェルに取りつけられるといっても、
ヘッドシェル一体型のカートリッジということになる。
カートリッジ本体だけであれば、ヘッドシェルを選択できる。
音のよいヘッドシェルを選ぶ、ということになるのだろうが、
ヘッドシェルの選択においては指かけのつくりはひじょうに重要なポイントになってくるし、
なによりもカートリッジを取りつけて、さらにトーンアームに取りつける。
そしてカートリッジをレコード盤面上におろしてトレースしていく姿もまた重要となる。
一体型カートリッジでは、だから単体のカートリッジ、単体のヘッドシェル以上に、
デザインが優れたモノであってほしい。
なにしろ変更できないのだから。
フィデリティ・リサーチからFR7というカートリッジが登場した。
ステレオサウンド 47号での新製品紹介のページでの取り上げ方も力がはいっていた。
それまでのフィデリティ・リサーチのカートリッジFR1とは、
大きく違う発電構造、それにFR7はヘッドシェル一体型で、
音もデザインも大きく変貌を遂げた、といえた。
FR7の発電構造図を見ていると、確かにユニークなカートリッジではあるし、
ぜひ聴いてみたいという気持になるけれど、
FR7の写真を見ていると、うーん、どうなのだろう……、という気持になっていた。
内部構造が FR1とは大きく異っているためああいう形状になるのは理解できても、
あのデザインが好きにはなれなかった。
47号の特集はベストバイだった。
FR7は、井上卓也、上杉佳郎、菅野沖彦、長島達夫、山中敬三の五人が三星をつけている。
FR7に星をつけていないのは岡俊雄、瀬川冬樹のふたりだけだった。
岡先生は59号のベストバイで、FR7、FR7fの両方に三星をつけられているから、
47号のベストバイにおいては、試聴が間に合わなかったのが理由だったのだろう。
けれど瀬川先生は、やはり星をつけられていない。