オーディオのロマン(その7)
1995年の5月に、はじめてのロードバイクを買った。
買う前には、当然いろんな情報を収集した。
当時はまだインターネットをやっていなかったし、
やっていたとしてもいまのようにブログやSNSが普及していたわけではないから、
結局は自転車雑誌が情報収集のメインとなる。
自転車店もいくつも廻った。
何かを買うかも重要なことだけど、それと同等かそれ以上にどこで買うかも重要だと考えてのことだった。
そのために自転車雑誌の記事だけではなく、広告も丹念に見ていた。
予算はそれほどなかったし、初めてのロードバイクだから、
いきなり最高級のモノを手にしようとは考えていなかった。
候補はいくつかに絞られた。
ただ自転車のフレームが、オーディオのスピーカー選びと異るのは、
サイズの問題がある。
どんなに優れたフレームでもサイズが合わなければ、その人にとっていいフレームとはいえない。
自分の欲しいフレームで、自分に合ったフレームのサイズでなければならないこともあって、
とにかく東京都内、神奈川、埼玉の自転車店をいくつも廻ったものだった。
そんな数ヵ月を過ごして購入したのはデ・ローザ(DE ROSA)のオレンジ色のフレームだった。
このフレームは、自転車店めぐりをはじめた最初の店にあったモノだった。
目にはついていた。
けれどオレンジ色がそんなに好きではなかったし、デ・ローザのこの時代のフレームは武骨だった。
もっと洗練されたフレームが欲しいと思っていたから、まったく気にも留めなかった。
いろんな店を廻って数ヵ月後、再び最初の店を訪れた。
そのとき、オレンジ色のフレームは、完成車として展示されていた。
「これだ!」と感じた。