Date: 2月 10th, 2015
Cate:
Tags:

日本の歌、日本語の歌(距離について・その1)

1989年か1990年だったと記憶している。
ヴィクトリア・ムローヴァが来日した。
津田塾ホールでのコンサートがある。

ムローヴァをかぶりつきで聴きたかった(見たかった)私は、
当時津田塾ホールの仕事をされていたKさんにチケットの手配をお願いした。
ムローヴァにいちばん近い席で聴きたい、という勝手な要望をつけて。

当日ホールについてチケットを受けとると、
いちばん前の席ではあるものの、中央の席ではなかった。
いちばん近い席という要望はかなえられなかったかぁ……、とすこしがっかりしていた。

コンサートが始る。
ムローヴァがステージに現れた。
なぜかムローヴァはステージの中央ではなく、私が坐っている席の真正面に立って演奏を始めた。

ムローヴァがステージのどの位置で演奏をするのか知った上で用意してくれたのどうかはわからなかったが、
私の要望は最高のかたちでかなえられた。

いまでは信じられないだろうが、当日津田塾ホールは満員ではなかった。
私の両隣はほとんど空席だった。

私の後には多くの人がいても、彼らは私の視界にははいらない。
私の視界にいるのはヴィクトリア・ムローヴァだけだった。

こういう距離感で音楽を聴けるのは、クラシックのコンサートではあまりない。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]