Date: 2月 10th, 2015
Cate: ヘッドフォン
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ヘッドフォン考(その2)

1978年にステレオサウンドは別冊として「Hi-Fiヘッドフォンのすべて」を出している。
国内外47機種のヘッドフォンの試聴を行っている。

この別冊の筆者は岡原勝氏、菅野先生、瀬川先生。
この面子からして、ヘッドフォンの別冊だから……、といったところは微塵もない。

いま思えば、よくこの時機に、これだけの内容のヘッドフォンの別冊を出していたな、と感心する。

1978年当時のヘッドフォンの扱いは、ぞんざいだったといえなくもない。
ステレオサウンド本誌でヘッドフォンがきちんと取り上げられることはほとんどなかった。
そこにヘッドフォンだけの別冊、
しかもステレオサウンドのメイン筆者である菅野先生と瀬川先生が試聴に参加されている。

瀬川先生は、自ら立候補して試聴に参加されている。なぜか。
     *
 ヘッドフォンで聴くレコードの音というものを、私は必ずしも全面的に「好き」とはいえない。が、5年ほど前から住みついたいまの家が、発泡性のPCコンクリートによるいわゆる「マンション」の3階で、遮音さえ別にすれば住み心地は悪くないのだが、音屋にとって遮音が悪いというのは全く致命的でまして夜が更けるほど目が冴えてきて、真夜中に音楽を聴くのが好きな私のような人間にとっては、もう命を半分失ったみたいな気分。いまはもう、一日も早くここを逃げ出して、思う存分音を出せる部屋が欲しいという心境になっているが、そんな次第で、最近の私にとって、ヘッドフォンは、好むと好まざると、もはや必要不可欠の重要な存在になってきている。
 それでもはじめのうちは、何となく入手したいくつかのヘッドフォンを、決して満足できる音質ではなかったが、ヘッドフォンなんて、まあこんなものなのだろうと、なかばあきらめて、適当に取りかえながら聴いていた。そのうちどうにも我慢ができなくなってきて、友人の持っている国産のコンデンサー型を借りてみたりしたが、なまじ期待が大きかったせいか、よけい満足できない。
 だいたいヘッドフォンというは、ローコストの製品はおマケのような安ものだし、高級機になると販売店等でも実際の比較試聴がなかなかできない。そんな折に、ほとんど偶然のような形でAKGのK240を耳にして、ヘッドフォンでもこんなにみずみずしく、豊かでひろがりのある音が得られるのかとびっくりして、しばらくのあいだこればかり聴く日が続いた。これの少し前は、KOSSのHV/1LCをわりあい長く聴いていた。国産のヘッドフォンのいくつかを試してみても、音楽のバランスのおかしいものが多く、とうてい満足できなかった。とはいうものの、AKGやKOSSにも、十分に充たされていたわけではない。
(中略)
 試聴はかなり長時間にわたったが、テストをしている最中にも、いくつかの良いヘッドフォンを発見するたびに、私は早速、今回の編集担当のS君に頼んでは、気に入った製品をすぐに手配してもらった。こうして試聴の終ったいま、イエクリン・フロート、ゼンハイザーHD400、ベイヤーDT440を買いこんでしまった。AKGは140も240もすでに持っているし、KOSSは前述のようにHV/1LCと、それに私の目的ではめったに使わないがPRO/4AAを前から持っている。これだけあれば私は十分に満足だ。
     *
この文章から、瀬川先生は六本のヘッドフォンを、この時点で所有されていることがわかる。

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