ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その27・補足)
スレッショルドの4000は、結局800Aの代りとなる存在ではなかった。
もちろん優れたパワーアンプだとは思っていても、それはどこか私にとっては他人事に近いものであって、
800Aとは違い、惚れ込むことのできる音では、決してなかった。
スレッショルドの回路図は、数年前にPASS LABのサイトで公開されていた(いまは削除されているようだ)。
おかげで、800A、4000 (400)、STASIS1、STASIS2 (3) の回路図をここから入手できた。
4000 (400)、STASIS2 (3) というふうに表記したのは、
回路図は、4000と400、STASIS2とSATSIS3はそれぞれ一枚にまとめられているからだ。
つまり4000と400の違い、STASIS2とSTASIS3の違いは、出力段のトランジスターの数である。
800AとSTASIS1はどうなのかというと、基本的にはそれぞれ4000、STASIS2と基本は同じだが、
出力段の規模が異なる。単にパワートランジスターのパラレル数が多いという違いではない。
言葉だけではかなり説明しづらいので、ひじょうに大ざっぱに書けば、
STASIS回路の特徴は、とうぜん出力段にあり、この出力段がSTASIS2 (3) は2ブロック構成なのに対して、
STASIS1は3ブロック構成となっている。そしてパワートランジスターのパラレル数も一気に増えている。
このブロックは、NPN、PNPトランジスターで構成されている。
800Aと4000 (400) の違いも、同じである。
4000 (400) の出力段が2段重ねであるのに対して、800Aでは3段重ねになっている。
スレッショルドのパワーアンプのラインナップにおいて、800AとSTASIS1は別格ともいえる。
ここで空想してしまうことは、800Aの回路構成のままのモデル、STASIS1の回路のままのモデル、
それぞれに出力段のパワートランジスターの数を減らし、
それに見合った電源部にしたパワーアンプをつくってくれていたら……、ということ。
800Aと400の関係はスレッショルドが示したものでよかったと思うが、
4000に関しては400のパワーアップ版とせずに、800Aの回路をそっくり受けついたモデルであってほしかった。
いまごろ、こんなことを書いていてもまったくの意味のないことではあるけれども……。