所有と存在(その1)
オーディオ愛を語る文章がある。
オーディオ愛でなくとも、レコード愛でもいい。
書いている本人はオーディオ愛、レコード愛を書いているわけだが、
読み手がそこに書き手のオーディオ愛、レコード愛を感じとれるかとなると、それは文章の巧拙とは関係がない。
たとえばオーディオに、レコードに、さらには音楽に、どれでもいいが、
対象物に恋する、と書くし、対象物を愛する、と書く。
間違っても対象物を恋する、対象物に愛する、とは書かない。
恋と愛。
これは言い換えれば、所有と存在なのではないのか。
オーディオ愛を感じられないオーディオ愛について書いてある文章は、
つまるところ、愛ではなく恋(所有)なのだろう。