サイズ考(その9)
1978年ごろに、テクニクスからコンサイスコンポが登場したとき、
黒田先生がステレオサウンドに、LS3/5Aを組み合わせて楽しまれている記事を書かれている。
キャスター付きのサイドテーブルの上に、LS3/5Aとコンサイスコンポ一式と、
たしか同時期に出ていたLPジャケットサイズのアナログプレーヤーSL10もふくめて
置かれていた写真を、こんなふうに音楽が楽しめたらいいなぁ、と思いながら眺めていた。
コンサイスコンポは、A4サイズのコントロールアンプ、パワーアンプとチューナーがあり、
どれも厚みは5cmくらいだったはず。
パワーアンプはスイッチング電源を採用することで薄さを可能にしていた。
手元にその号がないのでうろ覚えの記憶で書くしかないが、
黒田先生は、気分や音楽のジャンルに応じて、サイドテーブルを近づけたり遠ざけたり、と
メインシステムでは絶対にできない音楽の聴き方をされていた。
コンサイスコンポ・シリーズのスピーカーも発売されていたが、
黒田先生はLS3/5Aと組み合わされていたのが、この、音楽を聴くスタイルにまたフィットしているし、
省スペース・小型スピーカーだからこそ、活きるスタイルだと思う。
セレッションのSL6の登場以降、小型スピーカーの在りかたは大きく変化していったいま、
LS3/5Aに代わるスピーカーがあるだろうか。