なぜ逆相にしたのか(余談)
ジェームズ・バロー・ランシングがアルテック・ランシングを辞めたのは、
「家庭用の美しいスピーカーをつくりたい」からという理由だということに、以前はなっていた。
ただこれについての真偽はのほどはさだかでなく、ランシング本人の言葉とは断言できないし、
アルテック・ランシングとは、最初から5年契約だったことは、はっきりとした事実である。
となると「家庭用の美しいスピーカーをつくりたい」からというのは、なにかあとづけのことのようにも思えてくる。
D130が最初のユニットであれば、「家庭用の美しいスピーカー」という理由も、
確たる証拠がなくてもすなおに信じられる。
だが事実はD130の前にD101が存在する。
その最初のフルレンジユニットD101とアルテック515は、写真でみる限り、
ほぼそっくりであることはすでに書いたとおりである。
となると「家庭用の美しいスピーカー」というのがランシングが本当に語っていたとすれば、
おそらくD101に対してアルテック・ランシングからのクレームがきたからではないのだろうか。
もしもアルテックがD101を黙認していたら、JBLの歴史はどう変っていたのだろうか。
もしかするとJBLというブランドは、これほど長く続かなかったかもしれない。
アルテック・ランシングに対するジェームズ・バロー・ランシングの意地があったからこそのJBLなのかもしれない。