Date: 1月 22nd, 2014
Cate: Claudio Abbado
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アバドのこと(その4)

広島の「平和の鐘」の音色について、岡先生は、
「明るく澄んでいて、いかにもアバド好みでもある」と書かれている。

この一節があらわしているようにアバドの「幻想」には、
日本でも評価の高いミュンシュ/パリ管弦楽団の演奏に感じられる激情さ、熱気といったものは、
感じられない。
それだけにアバドの「幻想」は精緻であるともいえよう。

そのことはジャケットのイラストにもあらわれている。
ミュンシュ/パリ管弦楽団のイラストは、どう説明したらいいのか迷ってしまう。
「ミュンシュ 幻想」で検索すれば、ジャケットはすぐに見られるので、そちらをご覧いただきたい。

アバド/シカゴ交響楽団に使われているイラストは、ベルリオーズの胸像であり、
はっきりいえばあまりいいジャケット・デザインとは思えない。

「幻想」の名演ディスクということになれば、ミュンシュ盤を支持する人が多いかもしれない。
たしかにミュンシュ盤には凄味があり、
その凄味はアバド盤には稀薄でもあるが、録音の進歩もあいまって新鮮さがあるともいえる。

もしミュンシュ盤が、アバド盤と同程度の録音クォリティだったとしても、
試聴用ディスクとしてはアバド盤が選ばれると思う。

試聴用ディスクは同じ箇所を何度も何度もくり返し聴く。
10回、20回ではない。アバドの「幻想」に関しては、ほんとうに多かった。

これがミュンシュ盤だったら、そうとうにヘヴィーな試聴になったであろうからだ。

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