オーディオ・システムのデザインの中心(その12)
何年前のことになるだろうか、
菅野先生が、強い口調で話されたことがあった。
「部屋の真ん中を大蛇のようなケーブルが這っているところの音がまともだったことはない」と。
細部まではっきりと記憶しているわけではないが、このようなことをいわれたのははっきりと憶えている。
菅野先生はステレオサウンドの企画、ベストオーディオファイル、レコード演奏家訪問で、
多くのオーディオマニアのリスニングルームを訪問されている。
それだけではない、他のオーディオ雑誌の企画でも訪問されているし、
記事にならない訪問も決して少なくないはずだ。
その菅野先生が断言されている。
菅野先生が断言されなくとも、私も、
私なりの体験(菅野先生にくらべると桁違いに少ないのだけれども)、
同じことは感じていた。
音質最優先ということで、
大蛇のようなスピーカーケーブルを併記で部屋の真ん中を這わせる人もいるし、
天井からぶら下げている人もいる。
こうした方が音がいいから、とその人たちはいう。
その人たちにいわせれば、こうした方が音がよかったのだから、
菅野先生が言われていること、私もそう感じていることには納得できない、となるだろう。