Date: 11月 24th, 2013
Cate: 岡俊雄
Tags:

アシュケナージのピアノの音(続々・岡俊雄氏のこと)

やわらかい音が出れば、アシュケナージの、このときのピアノの音が再現できるというものではない。
マシュマロのような、といっても、それはあきらかにピアノから立ちのぼってくるやわらかい音なのである。

アシュケナージのレコードは、それほど多くはないけれど、
このコンサートの後に聴いてきた。
ふり返ってみると、ほんとうに数えるほどの枚数である。

あのコンサートでのアシュケナージのピアノの音は、
アシュケナージ本来の音なのであろうか、という疑問もある。

アシュケナージというピアニスト、
当日演奏に使われたピアノ、
コンサートホールの音響特性、
それに私がいた二階席。
こういった要素が偶然うまく絡みあっての、あのときの音になっていた可能性だって排除できない。

それはわかっていても、一度でも聴いて、はっとさせられた音は忘れられるものではないし、
アシュケナージのレコードを聴けば、どうしても、あの音を思い出すし、
それはスピーカーから出る音としては、いまのところ無理なのかもしれない。

そんなことがあったからアシュケナージのレコードは、いつのまにか遠ざけるようになったのかもしれない。

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