瀬川冬樹氏とスピーカーのこと(その18)
ステレオサウンド 59号の瀬川先生のパラゴンについての文章を読み返すたびに、
あれこれおもってしまう。
だから何度も引用しておこう。
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ステレオレコードの市販された1958年以来だから、もう23年も前の製品で、たいていなら多少古めかしくなるはずだが、パラゴンに限っては、外観も音も、決して古くない。さすがはJBLの力作で、少しオーディオ道楽した人が、一度は我家に入れてみたいと考える。目の前に置いて眺めているだけで、惚れ惚れと、しかも豊かな気分になれるという、そのことだけでも素晴らしい。まして、鳴らし込んだ音の良さ、欲しいなあ。
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この200字くらいの文章から読みとれることはいくつもある。
それは私の、瀬川先生への想い入れが深すぎるからでは決してない、と思う。
この文章を最初によんだ18の時には気づかなかったことが、いまはいくつも感じられる。
「外観も音も、決して古くない」
ここもそうだし、
「しかも豊かな気分になれる」
ここもだ。
瀬川先生とパラゴンについて、こまかいことう含めて、長々と書いていくことはできるけれど、
この文章だけで、もう充分のはずだ。
私は断言する。
瀬川先生はバラゴンを手に入れられたはずだ、と。