「音は変らない」を考えてみる(その9)
自分で鳴らすスピーカーシステムの選択において、
とにかく大事にしたいのは、そのスピーカーシステムに惚れ込んでいるかどうか、であるわけだが、
これは人によって異ってくる。
必ずしも惚れ込んだスピーカーシステムを、人は選ぶとは限らない。
もちろん、常に予算という制約がほとんどの人にあるわけだから、
惚れ込んだスピーカーシステムはあっても、
いまはまだ手が届かない、だからいまのところは別のスピーカーシステムを……、という例は少なくない。
私だって、JBLの4401という、比較的小型のブックシェルフの2ウェイ・スピーカーを欲しかったのは、
そのころ惚れ込んでいた(そしていまもその気持は継続している)4343は学生には手が届かない存在だったから、
4343への到達までの道のりのスタート点として、欲しかった、ということがあった。
4301がまともに鳴らせなければ、
つまり、このことは私にとってクラシックがある程度聴けるように鳴らせなければ、
4343を手にしたところで、まともに鳴らせるわけがない、
そういうふうにも思っていた。
とにかく、これまでスピーカーに関しては、惚れ込んだモノだけを買ってきた。
けれど、オーディオをながく続けていると、
惚れ込むことなくスピーカーシステムを選択する人がいることを知る。