複数のスピーカーシステムを鳴らすということ(その15)
O君の部屋にダイヤトーンのDS9Zが鳴っていたのをみて、思い出したことがある。
ステレオサウンドの取材でDS9Zを鳴らす日があった。
前述の試聴が早く終ったため、
それに翌日は休日出勤ということもあったので、
その日のうちにO君とふたりでDS9Zをセットして翌日の準備をした。
準備が終り、DS9Zから音を出す。
意外に、いい音が鳴ってきた。
そこで、O君が、試聴室隣の倉庫にあったマッキントッシュのMC2500で鳴らしてもいいですか、という。
そのころ、彼はMC2500(ブラックパネル)をすでに購入していた。
私の好みからすればDS9ZにMC2500の組合せは、あまりピンとくるものがないけれど、
試しに、と鳴らしてみた。
せっかく鳴らしたので、細かなところをチューニングしてみた。
その時、鳴らしていたのはピーター・ガブリエルの「So」の三曲目、
ケイト・ブッシュも参加している”Don’t Give Up” だった。
ほとんど、この曲ばかり聴いて、チューニングを追い込んでいった。
何かをする、そしてまた聴く。
うまくいったら、ふたりで、おーっとと喜び、さらに、と別のところに手を加える。
MC2500も充分暖まってきたし、DS9Zも鳴らし続けてきたことで鳴りもあきらかに変ってきた。
こうなると、こちらものってくる。
この日の音が、どれだけ良くなったかは、O君の翌日の出勤時刻が表している。