黄金の組合せ(その16)
QUADは、いまでこそブランド名であり会社名にもなっているが、
1980年代の途中まではブランド名だった。
QUADのブランドをもつ会社の正式名称は、Acoustical Manufacturing Co.Ltd.。
QUADは、Quality Amplifier Domesticの略して名づけられたものだ。
domesticは家庭の、とか、家庭的な、といった意味があることからわかるように、
そしてQUADがイギリスのオーディオ・メーカーということも相俟って、
QUADのアンプは、性能、音質のためだからといって、物量を投入に走るようなことはやらない。
まずサイズ(形・スタイル)ありき、からのアンプである。
405は100W+100Wのパワーアンプ。
いまでこそこの程度の出力はハイパワーということはないが、
405が登場したころは100Wは、充分にハイパワーということができた。
100W+100Wを、W34.1×H11.5×D19.5cm、9.0kgの大きさに収めている。
このことも405登場時には話題になったことだ。
405の内部の半分ほとは電源トランスが占める、とはいえ、
それほど大きな電源トランスとはいえないし、
平滑用の電解コンデンサーも数値を競うかのような大容量ではない。
ほどほどに、節倹の精神とでもいえるつくりである。
AGIはアメリカのメーカーで、設計者は若い。
新進のメーカーだから、物量投入型かと思えば、
内部を見て、意外に思うのは電源トランスの小ささである。
リアパネルの隅に電源トランスは取り付けられている。
ちょこんとした感じで、ついている。
OPアンプ構成だから、ディスクリート構成のアンプよりも消費電流は少ないとはいうものの、
511の電源トランスを初めて見る人は、しょぼい、と思うはずだ。