Date: 1月 18th, 2010
Cate: 音楽性
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AAとGGに通底するもの(その8)

左右のスピーカーのあいだに、空気の密度が急激に高まって、硬い、見えない壁ができ、
それをこれまた、異常に硬いもので叩いた、もしくは貫いた結果の音、と、
ここまで書いて思い当ったのが、ソニックブームである。

飛行機が音速を超えるときに発生する衝撃波に近いであろう、そんな音、
つまりアコースティック楽器では、いかなる楽器をもってこようとも、
こんな音はとうてい出せないだろう、といった低音が伝わってきた。

いままでいくつものスピーカーを聴いていたが、それらのなかで、同じCDをかけて、同じアンプで鳴らしても、
こんな低音を出せるスピーカーは、おそらくないだろう、とそう思うぐらいの音で、
その意味では、この一点のみにおいて、他のいかなるスピーカーよりも優れている、といえるのかもしれない。

けれど、その低音が鳴ったのは、わずか1、2秒のことである。
たしかに凄いとは思った。が、ただそれだけのことである。

衝撃波のような低音がはいっているCDそのものにまったく興味がない。
だから、そのCDがどんなにすごい音で鳴ろうとも、
グールドをはじめとする、私が聴きたい音楽のCDが、奇妙な異和感をまとって鳴るのだから、
その非常に高価なスピーカーを、欲しくなることは絶対にない。

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