オーディオ評論家の「役目」、そして「役割」(あとすこし「土」について)
1966年、それまでなかった「土」としてステレオサウンドが創刊され、
その「土」のうえに、オーディオ評論家という、やはり、これもそれまでなかった才能が花咲いた。
この、それまでなかった「土」は、オーディオ評論家だけを芽吹かせたわけではない。
それまでいなかった読み手をも芽吹かせた──。
グレン・グールドが、
新しい聴き手(New Listener)、新しい新しい聴き手(New New Listener)について語っていたことを、
ここで思い出していただきたい。
グレン・グールドという存在は、
単にピアニストとしてきわめて優れていただけではなく、
彼自身が、新しい聴き手、新しい新しい聴き手を芽吹かせるための、
それまでなかった「土」でもあったところに、
彼自身がそれまでいなかった音楽家であったといえる。
グレン・グールドの聴き手のすべてが、
グレン・グールドのいうところの新しい聴き手とはいえない。
ただただスノッブな聴き手もいるわけだが、
それでもグレン・グールドという、それまでなかった「土」は、新しい聴き手を芽吹かせているはず。
それと同じ意味で、
新しい読み手(New Reader)、新しい新しい読み手(New New Reader)が芽吹いてきた──、
そうおもいたい……。