Archive for 12月, 2024

Date: 12月 19th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その13)

今秋、衝動買いしそうになったオーディオ機器が、一つある。
アダムオーディオのD3Vという、パワーアンプ内蔵のスピーカーシステムだ。

アダムオーディオのスピーカーだから、トゥイーターはAMT型。
ペアで四万数千円という価格帯のスピーカーであっても、AMT型を採用している。
これだけで、ちょっと欲しくなった。

外観は価格相応であっても、その内容は、この価格で買えるのか、と思うところもあったりする。

もう少し垢抜けた仕上がりだったら、間違いなく衝動買いしていたところ。

こんなことを書きながらも、輸入元のウェブサイトを眺めていると、
買ってみてもいいかなぁ、ぐらいに思ったりもする。

これ以上スピーカーを増やさない、と一応決めているので、
手を出すことはないだろうけど、
どこかで聴いてしまったら──、ということもあるかもしれない。

気になっているスピーカーである。

Date: 12月 18th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(オイルのこと)

オイルと無縁ではいられないのが、アナログディスク再生である。
トーレンスの101 Limitedを使っていた時、
オイルはスクアランを使っていた。

深海鮫の肝油を磁気処理したというモノで、
トライアソシエイツという会社から、TR30という型番で発売されていた。

重宝していた。
けれどトライアソシエイツという会社がなくなり、手に入らなくなった。

代わりのオイルはなにかないものか、と検索すると、
スクアランオイルを製品化したものが、いくつか見つかる。

オーディオ用としても、スクアランオイルをベースにしたものが出ている。
でも、TR30とは、何か違うような感じがして、
手を出すまでには行かなかった。

とはいえ、なんらかのオイルが必要になってきたので、
再び検索してみて、一つ見つけた。
スクアランオイルなのだが、TR30に近い、
もしくはほとんど同じかもしれない、
そんな感じのものが見つかった。

昨日の、トーレンスのTD124に使ったのも、
このスクアランオイルである。

TR30よりも高価になっているけど、それでもいい。
このスクアランオイルで、大丈夫のようだ。

Date: 12月 17th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その8)

(その7)でふれているトーレンスのTD124のメンテナンスに行ってきた。
メンテナンスといってもやったことは、クリーニングと注油ぐらい。

これだけのことだが、回転はよりスムーズになっただけでなく、
立ち上りも早くなったし、スイッチを切った後の回転も長くなった。

特別なことはやっていない。
基本的なことをやってきただけだ。
それでも、何の問題もなく回転するTD124のプラッターを眺めていると、
メカニズムの基本に忠実に作られたプレーヤーだからこそ、
特別なことを施さなくとも、きちんと動作するようになる。

そのことを感じていた。

Date: 12月 16th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その12)

オーディオの才能がある、とか、ない、とか。
オーディオの才能に恵まれている、とか、いない、とか。

そんなことが話題になることもあるだろうし、
一人、そのことで悩んだりすることもあるかもしれない。

その人に、オーディオの才能があるのか。
それを誰が判断するのか。

今年は、この「オーディオの才能」に関して、
いくつか考えることがあった。
具体的にどういうことなのかは触れないが、
ひとつ言えることは、オーディオの才能があるのかどうか、
それを考えたり悩んだりする前に、
オーディオの才能とは、いったい何なのか──、
そのことをしっかり考えることなく、あれこれ言ってどうなるものではない。

なんとなくだけど、自虐的なのか、
自分にはオーディオの才能がないですから──、
そんなことを言ってしまう人は、
オーディオの才能について深く考えたことがないはずだ。

Date: 12月 16th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 2025年の予定

2025年のaudio wednesdayは、数人の方に選曲をお願いする。

12月のHさんの選曲による現代音楽は、好評だった。
私も面白く聴いていた。

いまのところ、二人の方に声をかけている。
やってもらえそうだから、楽しみにしている。

まずは好きな音楽をかけてもらうわけだが、
回を重ねていくにつれて、同じテーマでどういう選曲をされるのか、
それも、やってみたいと考えている。

Date: 12月 16th, 2024
Cate: plain sounding high thinking

オーディオはすでに消えてただ裸の音楽が鳴りはじめる(その20)

《オーディオはすでに消えてただ裸の音楽が鳴りはじめる》
audio wednesdayで再び音を鳴らせる一年を過ごして、
どうだっただろうか──、とふりかえる。

Date: 12月 15th, 2024
Cate: モニタースピーカー

モニタースピーカー論(家庭用スピーカーとは・その5)

アルテックのModel 19、JBLのL200を、この項で挙げている。
もう一機種、挙げておきたいスピーカーがある。

上の二機種と同じ時代のモノで、エレクロトボイスのInterface:Dである。

三機種ともスマートなプロポーションのスピーカーシステムではない。
ずんぐりむっくりのプロポーションである。

別項で、国産のずんぐりむっくりのプリメインアンプについて、
否定的なことを書いているが、
スピーカーに関してはずんぐりむっくりのプロポーションは、
むしろ好ましく感じられる。

ずんぐりむっくりであれば、全ていいというわけではなく、
上に挙げている三機種に関しては、いいプロポーションだと思う。

Interface:Dだが、写真でしか知らない。
現行製品だったころも、その後、中古になってからでも、
一度も見たことがない。

あまり売れてないのであれば、中古としても出てくることは少なくなる。
日本でどのくらい売れたのかは知らないが、
多くは売れていないであろう。

それでもいつか自分の手で鳴らしてみたいスピーカーの一つだ。

Date: 12月 14th, 2024
Cate: ハイエンドオーディオ

ハイエンドオーディオ考(その15)

例えば直熱三極管のシングルアンプ。
一輪挿しの世界ともいえる、この種のアンプと高能率のスピーカーとの組合せ。

ディープエンドオーディオの世界といえる。

私が中高生のころ熱心に読んでいたステレオサウンド。
その頃の連載に、スーパーマニアがあった。

そこに登場している人の何人かは、まさにそういう人であった。
若い頃からオーディオに熱中して、さまざまななことを試みて、
直熱三極管のシングルアンプの世界にたどり着く。

ハイエンドオーディオからディープエンドオーディオへのシフト。
シフトしていく人もいれば、そうでない人もいる。

どちらかどうとか、いえることではない。
いえるのは、最初からディープエンドオーディオはない、ということだ。

Date: 12月 14th, 2024
Cate: ハイエンドオーディオ

ハイエンドオーディオ考(その14)

ハイエンドオーディオの対義語は、いったいなんだろうか。
チープオーディオ、プアオーディオという人もけっこういるようだ。

現在、なんとなくハイエンドオーディオと呼ばれているモノは、
確かに非常に高価だったりする。

誰が買うんだろう? と思ったりもするけれど、
買う人がいるからこそ、メーカーは出してくる。

そういう状況だから、
高価の反対という意味でチープ(プア)オーディオなのだろう。

ハイ(high)の対義語は、ディープ(deep)ではないだろうか、
オーディオの場合では。

ハイ・フィデリティに対して、ディープ・フィデリティ。
こんなことも考えたりしているわけだが、
高みを目指すのもいいが、オーディオはそればかりではない。
深みを目指していく、追求していくのもオーディオである。

ハイエンドオーディオ、
ディープエンドオーディオ。

高みの行き着く先、深みの行き着く先。
どちらを目指すのか。

Date: 12月 13th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十二夜(JBL 4343 + Meridian Ultra DAC、ふたたび)

1月8日のaudio wednesdayでは、JBLの4343をふたたび鳴らすわけだが、
アンプはまだ決まっていない。

D/Aコンバーターは、11月の会と同じくメリディアンのUltra DACである。

以前、別項で書いているように、
Ultra DACの、私の中での位置づけはEMTの930stである。

だからこそ今回もUltra DACとなる。

930stの上には927Dstがあった。
930stも、優れた音のプレーヤーなのだが、
927Dstを一度でも聴いてしまうと、その違いに驚くだけでなく、
なんとしてでも927Dstを、という気持になってしまう。

930stの上には、トーレンスのリファレンスもあった。
これらを聴いてしまうと、930stが少しばかり色褪せてしまう。

だから20代の私は、かなり無理をして927Dstに行ってしまった。

そうして、いま思うのは、930stの良さである。
その良さに共通するものをUltra DACにも感じる。

Ultra DACも高価なD/Aコンバーターだが、
その倍どころか、十倍以上するD/Aコンバーターも登場してきている。

Ultra DACよりも高性能なD/Aコンバーターは、ある。
それでも930st的D/Aコンバーターとなると、
私にとっては、いまのところUltra DACのみである。

瀬川先生は長いこと930stを使われていた。
だから思うことがある。

瀬川先生がUltra DACを聴かれたら──と。
その答を探っていくためにも、今回もUltra DACが必要になる。

Date: 12月 12th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その11)

今日はステレオサウンドの発売日。
体調を少し崩して、一日、静養していた。
いま住んでいる近所に書店はないけれど、
Kindle Unlimitedで、発売日に一歩も出かけるとかなく読める。
便利な時代になったことを、こういう時に実感する。
最新号の特集は、恒例の企画。

今号を読んでいて、非常に気になったのが、
ウエスギ・アンプのU·BROS333OTLだ。

管球式のOTLアンプは理想的なアンプとは思っていないが、
どこか特別なアンプであり、管球式OTLと聞けば、
どんな音だろう、と興味がわいてくる。

ステレオサウンドにいたころ、カウンターポイントのSA4、
フッターマンのシリーズが現行機種だった。

フッターマンもカウンターポイント、どちらもじっくり聴いている。
SA4は、試聴室常備に近かったので、聴く機会は多かった。

カウンターポイント、フッターマンともに出力管は6LF6。
いまもフッターマンのOTL4は欲しい、というか、
もう一度、その音を聴いてみたいのだが、
いざ聴いて気に入って手に入れたとして、6LF6をどうするのか。

カウンターポイントもフッターマンも、多数並列接続で使用している。
マッチングペアで、多数の6LF6をストックすることの大変さを思うと、
うーん……、という気持にもなる。

U·BROS333OTLは6C33Bを使っている。
この球だって、マッチングペアのことを考えると……、とはならないのは、
ウエスギ・アンプだからだ。

そうなると、俄然聴いてみたいと思う。
それもジャーマン・フィジックスのスピーカーを鳴らした音を聴いてみたい。

とても良く合う予感がしてならない。

Date: 12月 11th, 2024
Cate: スピーカーとのつきあい

BOSE 901というスピーカーのこと(その5)

スピーカーであれアンプであれ、
オーディオマニアが、その音をどこかで聴いて、あれこれその音について語る。

オーディオ店であったり、オーディオショウであったり、
オーディオマニアのリスニングルームであったりする。

そうやって聴けた音は、そのオーディオ機器の本来の音なのか、
どの程度で鳴っていたのか──、
そういったことを無視して、あれこれ、どんなに多くを語ったとしても、
私は、ほぼ無意味と受け止めている。

そうでなければBOSEの901の評価はもっともっと高いはずだ。
けれど実際は、901に関心を持っていた人でも、
今回のaudio wednesdayで、初めて聴けました、となる。

このことに関しては、言いたいことけっこうある。
まずオーディオ店、その店員について、言いたいことはある。
それからオーディオ評論家に対しても、
オーディオ雑誌の編集者に対しても、である。

そのことを書いていったら、キリがないほど書けるけれど、
だからと言って、いまさら書いたところで……、というおもいのほうが強い。

そのことは措くとして、今回の901 Series Vの音は美しかった。
こんなに美しくなるのか、と鳴らしている本人が、
少しばかり驚くほどだった。

別項で触れて青木涼子の「Harakiri」も美しかった。
でも、個人的には、「Harakiri」の後にかけた
グラシェラ・スサーナの「人生よ ありがとう」の美しさに、さらに驚いていた。

聴いていて情景が浮かんでいた。
いままでになかった情景だった。
その情景の美しさに、驚いていたのかもしれない。

Date: 12月 10th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十二夜(JBL 4343、ふたたび)

告知しているとおり、
来年1月のaudio wednesdayでは、JBLの4343を鳴らす。

いま考えているのは、一曲目のこと。
11月の4343の時には、コリン・デイヴィス指揮のストラヴィンスキーの「春の祭典」をかけた。

1月の会では、また「春の祭典」でも面白いと思いながらも、
2025年の最初の曲でもあるから、考えている。

1月に最初にかける曲は、2025年の一曲目でもある。
12月の最後にかけるきは、2025年をしめる曲でもある。

この二曲の間に、さまざまな曲をかける。
同じ曲をかけることもある。
今年の12月の会のように、選曲を誰かに任せることもある。

そうやって、いろんな曲を、来年もかけることになる。
2025年は、何曲かかけることになるのか。

そんなことを思いながら、一曲目を考えている。

Date: 12月 9th, 2024
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その37)

今年、ROCK(Roon Optimized Core Kit)を導入した。
それからaudio wednesdayでも、CD、SACDを使うことはあったが、
TIDALを使うことの方が多かった。

TIDALの、日本でのサービス開始はまだだから、
契約するには、ちょっとしたことが求められる。
具体的なことは検索すれば、すぐに表示される。

10月23日から、Qobuzが始まった。
なのでaudio wednesdayではTIDALとともに使うようになった。

来年はもっと使うだろう。

audio wednesdayで、なぜストリーミングを使うかといえば、
聴きたい曲がすぐに聴けるからだ。

もちろん、TIDALにもQobuzにもない曲はあるが、
そうとうにさまざまな曲が聴ける。

ここは、とても大事なことだ。
audio wednesdayに来てくれた方が、
会でかけた曲を聴いてみたいと思ったら、
TIDAL、Qobuzを使っていれば、同じ曲がすぐに聴ける。

これがLPやCDだとまだ廃盤になってなくても、
実際には入手困難なことは意外とあるし、
廃盤になっていて中古相場が、かなり高くなっているものは、
audio wednesdayではかけたくない。

そういう盤を持っていることを、
なんとなく自慢げにかけるようなことはやりたくない。

audio wednesdayで鳴らすオーディオ機器は入手困難なモノもある。
だからこそ音楽に関しては、そういうものは避けたい。
だからこれまでもこれからもストリーミングが中心となる。

Date: 12月 8th, 2024
Cate: ディスク/ブック

能×現代音楽 Noh×Contemporary Music(その4)

BOSEの901 Series Vが鳴らす「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」は、
スリリングであっただけでなく、それ以上に美しい。

というよりも美しいからこそ、よりスリリングだったのだろう。

BOSEのスピーカーから、そういう美しい音が鳴るものか──、
そう思っている人が多いと思うが、それも仕方ないこととも思っている。

901シリーズの音を、
きちんと鳴らされている901の音を聴いたことのある人の方が少ないのだから。

現代音楽とは、
作曲家の湯浅譲二氏によると「未聴の音楽」とのこと。
ならば現代音楽を聴くオーディオとは、「未聴の音」ともいえる。

未聴の音で鳴らす(聴く)未聴の音楽。
12月4日の音は、確かにそうだった、と自負している。