ステレオサウンド 86号の新製品紹介で初めて対面した107。
中高域は105と同じでも、低音部は大きく違っていた。
ウーファーは見えない。
当時の輸入元はBSRジャパンからベニトーンへと移っていた。
86号では柳沢功力氏が担当されていて、その記事を読みなおすと、
ベニトーンから詳しい資料は提供されていなかった、はずだ。
この形状から推測できるのは、
低音部は、いわゆるケルトン型であることぐらいしかわからなかった。。
KEFも、路線変更したのか、
こういうモノを作るようになったのか、とがっかりした。
KEFらしくキワモノ的な感じを、対面した時に抱いてしまった。
1988年、この時点でKEFのModel 107への興味がわくことはなかった。
音も聴いている(はずだ)。
と曖昧に書くのも、ほとんど記憶にないからだ。
86号掲載の新製品の他の機種のことは思い出せるから、
やはり聴いている。にも関らず印象に残っていない。
107のことは、記憶の片隅に追いやられてしまっていた。
「107? そういえば、そんなモデルがあったな」と思いだすきっかけは二年前、
2015年8月28日だった。
友人のAさんからのSNSのメッセージに、KEFの107を、興味のある人にゆずりたい、とあった。
それからだ、107のことをインターネットで検索し調べはじめたのは。
インターネットには写真、図も含めて、意外にも多くの検索結果が表示された。
日本では知っている人すらほとんどいないモデルであって、
私もほとんど忘れかけていたモデルであっても、
海外ではなかなか高い評価を得ていたようである。
構造図もあった。
ウーファーは内部に二発ある。
内部構造は、私が想像していたよりも、少し複雑なようにも感じた。
二本のウーファーユニットは金属棒で連結されていることもわかる。
低音の開口部は、エンクロージュア上部にあることは、
86号の時点で現物を見て確認済みのはずなのに、それすらも忘れていた。
160Hz以上をうけもつHEAD ASSEMBLYは、
このダクト後半分をやや覆うような位置にある。
この位置関係を、いま実際に確かめて思ったのは、
バイロイト祝祭劇場のようだ、である。