対称性(その10)
瀬川先生の指摘にあるように、
B&Oのアナログプレーヤーは、
レコードを真上から掬いとるような形で持っていくような状態でレコードをかけかえるようになる。
EMTの930stも、プレーヤーとしての形状はB&Oと大きく違っていても、
実際に使ってみると、同じレコードのかけかたを、使い手に要求する。
国産のアナログプレーヤーに多いのは、
プレーヤーの正面からほとんど手を前に並えするような形でレコードをかけかえる方法である。
五味先生が、オーディオ愛好家の五条件で、
ヒゲのこわさを知ること、を挙げられている。
ヒゲとは、レコードをプレーヤーにかける際に、
スピンドルの先端でレーベルをこすってしまった線状のあとのことだ。
一発でレコードのセンター孔にスピンドルを通せば、ヒゲがつくことはない。
漫然とレコードを扱っているからついてしまい、
しかも消せないのがヒゲである。
どんなに盤面がきれいにクリーニングされていようと、
ヒゲがついていては、その人のレコードの扱いがどんなものか知れよう。
B&O、EMTがレコードを真上から掬いとるような形でかけかえさせるようにしているのは、
ヒゲをつけないような配慮のようにも思える。
プレーヤーの正面からほとんど手を前に並えするような形でレコードをかけかえるから、
ヒゲがつきやすいレコードの扱いになってしまう。
そういうプレーヤーでも、真上に掬いとるような形でかけかえれば、
ヒゲがつくような扱いをすることはなくなるはずだ。