Archive for category ブランド/オーディオ機器

Mark Levinsonというブランドの特異性(その54)

「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」の’76年版、
「私の推奨するセパレートアンプ」での特選三機種は、
マークレビンソンのLNP2とSAEのMark 2500の組合せ、
それとQUADの405である。

LNP2+Mark 2500について、こう書かれている。
     *
 マーク・レビンソンはコネチカット、SAEはカリフォルニア、東海岸と西海岸の互いに全く関係のないメーカーなのに、LNP2とMARK2500に関するかぎり、互いがその音を生かし合うすばらしく相性のいい組合せだと思う。LNP2の音はおそろしくデリケートで、かつてJBL SG520が聴かせた音を現代の最高水準に磨きあげたようだ。一聴すると細い音なのに、よく聴くと中〜低域がしっかりと全体を支えてバランスが素晴らしく、繊細でしかもダイナミックな音を聴かせる。JC2はもっと解像力が良いが、音楽的な表現力ではLNPの方が一段上だ。そしてこの音が、SAE♯2500の音をよく生かす。あるいは♯2500がLNPの音をよく生かす。
 SAE♯2500は、非常に深みのある音質で、第一印象はLNP2と逆に音像が太いように感じられるが聴き込んでゆくにつれて、幅広く奥行きの深い豊かな音の中に実にキメの細やかな音を再現することに驚かされる。
     *
いまでは、あまり国による音の違いは、語られなくなってきている。
でも、LNP2、Mark 2500のころ(1970年代後半)は違っていた。

もちろんメーカー(ブランド)による音の違いがあるものの、
俯瞰してみれば(聴けば)、お国柄といえる共通する音が色濃くあったものだ。

こういうことを書くと、私よりも上の世代のオーディオマニアから、
そんなことはなかった──、と十年ほど前にいわれたことがある。

オーディオマニアが販売店や、個人のリスニングルームで聴いている範囲では、
そういう印象なのかもしれないが、オーディオ雑誌での、いわゆる総テストで、
スピーカーやらアンプを、集中して数十機種聴くという経験をしていれば、
イギリスにはイギリスの音、ドイツにはドイツの音、
アメリカにはアメリカの音(それも西海岸と東海岸の音)があることが感じられる。

瀬川先生の文章を読んでいると、
SAEが東海岸、マークレビンソンが西海岸のブランドのように思えてくる。

《かつてJBL SG520が聴かせた音を現代の最高水準に磨きあげたようだ》と、
瀬川先生も書かれている。
いうまでもなくJBLは西海岸のブランド(メーカー)である。

Date: 4月 9th, 2022
Cate: TANNOY

タンノイはいぶし銀か(その13)

セルゲイ・ラフマニノフが演奏家(ピアニスト)として、
高い評価を得ていたヴィルトゥオーゾなのは、
クラシックに興味を持ち始めたころに知っていた。

けれどラフマニノフの曲にさほど関心のない私は、
ピアニスト・ラフマニノフの演奏にもさほど関心をもつことはなかった。

なので聴いたのは、つい先日が初めてだった。
TIDALにラフマニノフによるショパンがあるのは、以前から知っていた。
昨年秋からMQA Studioで聴けるようになっていたのも、もちろん気づいていた。

それでも積極的に聴きたいとは思わず、聴かずじまいだった。
当然古い録音なのだが、聴いてみると、聴きづらいと感じるほどではない。
むしろ、この時代の録音にしてはうまく録れている、とも感じたのは、MQAだったからなのか。

私にとってラフマニノフは、作曲家よりも演奏家としてのほうが関心がある。
どんなふうに評価されていたのかも知りたくなった。

ロンドンでラフマニノフの実演に幾度か接している野村光一氏の文章があった。
     *
ラフマニノフの音はまことに重厚であって、あのようなごつい音を持っているピアニストを私はかつて聴いたことがありません。重たくて、光沢があって、力強くて、鐘がなるみたいに、燻銀がかったような音で、それが鳴り響くのです。まったく理想的に男性的な音でした。それにもかかわらず、音楽はロマンティックな情緒に富んでいましたから、彼が自作を弾いているところは、イタリアのベルカントな歌手が纏綿たるカンタービレの旋律を歌っているような情調になりました。そのうえにあの剛直な和音が加わるのだから、旋律感、和声感ともにこれほど充実したものはないのです。
(「ピアノとピアニスト 2003」より)
     *
《燻銀がかったような音》とある。

野村光一氏は実演を聴いての《燻銀がかったような音》という感想なのだが、
MQA Studioで聴くラフマニノフの音も《燻銀がかったような音》である。

Date: 3月 26th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ
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同軸型ユニットの選択(その27)

ステレオサウンド 50号のマイ・ハンディクラフト、
別冊「HIGH-TECHNIC SERIES 4」、
同じく別冊「SOUND SPACE 音のある住空間をめぐる52の提案」、
これらの記事を何度もくり返し読んできた私にとっては、
アルテックの604-8Gと平面バッフルとの組合せが鳴らす音と響きは、
私自身が心から求める世界とは違っていることはわかっていても、
思いっきり鳴らしてみたい世界でもある。

でるだけ大きな面積の平面バッフルこそが、
こういう音を求めるには最良の結果をもたらすことぐらいはわかっていも、
現実に5.5畳ほどのワンルームに、1.8m×0.9mの平面バッフルを無理矢理入れて、
シーメンスのコアキシャルを取り付けて聴いていた私は、
いかにも大きすぎることを感じていた。

私の感覚からすれば、自分の身長よりも高いスピーカーはあまり使いたくない。
それは広いリスニングルームがあったとしてもだ。

このへんのことは、人それぞれの感覚があってのことだから、
どんなに背の高いスピーカーであっても、音が良ければまったく気にならない、
そういう人もいれば、私のような人もいる。

さほど大きくない平面バッフルに604-8Gを取り付けて、
サブウーファーはエンクロージュアにおさめる。

こんな構想を考えながら思い出しているのは、
ダルクィストのスピーカーシステムDQ10のことだ。

いまではDQ10といっても、どんなスピーカー?
ダルクィスト? という人のほうが多数だろう。

あえてQUADのESLのアピアランスに似せたDQ10は、
私は聴く機会はなかったけれど、
ハイエンドスピーカーの流れに連なっていく音だったのではないだろうか。

DQ10はウーファーだけがエンクロージュアに収まっていた。
他のユニットは最小限のバッフルに取り付けられていた。

サランネットを外した姿、いわば裸のDQ10はバラックのようでもあった。

Date: 3月 26th, 2022
Cate: LNP2, Mark Levinson

Mark Levinson LNP-2(silver version・余談)

ブラックパネルだけだとおもっていたモデルに、
シルバーパネルまたはホワイトパネルがあるのを知ることがある。

マークレビンソンのLNP2だけでなく、ヤマハのC2もそうである。
GASのコントロールアンプのThaedraにもホワイトパネルがある。

ステレオサウンド 38号の特集、
山中先生のリスニングルームにはホワイトパネルのThaedraが置かれてた。

Thaedraのホワイトパネルは、初期のThaedraだけかとずっと思い込んでいた。
それにThaedraだけにホワイトパネルがある、とも思っていた。

ヤフオク!やソーシャルメディアを眺めていると、そうでなかったことを知る。
Thaedra IIにもホワイトパネルがある。
それだけでなく、Thaliaにもホワイトパネルがあるのを数ヵ月前に知った。

となるとThoebeにもホワイトパネルがあってもおかしくない。
あるのだろうか。

おもしろいのは、いまのところホワイトパネルが存在するのは、
コントロールアンプだけのようである。

マークレビンソンもヤマハもGASもそうである。
私がまだ知らないだけで、パワーアンプにもホワイトパネルがあったりしたのだろうか。

Date: 3月 25th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その26)

604-8Gのシステム構想をあれこれ練るのは楽しい。
どんなシステムにするのかは、どんなエンクロージュアにするのかに大きくかかっている。

まず浮ぶのは、
ステレオサウンド 51号のマイ・ハンディクラフトに登場した
ジェンセンのバス・ウルトラフレックス型である。

604-8Gだけを鳴らすのであれば、このエンクロージュアがいい、といまでも思っている。
けれど、ここで考えているのは、6041を超えるシステムであり、
ワイドレンジを狙ったものであるから、トゥイーターとウーファーを足すことが前提となる。

バス・ウルトラフレックス型エンクロージュアに604-8Gをおさめ、
サブウーファーは別エンクロージュアにする、
トゥイーターはバス・ウルトラフレックス型エンクロージュアの上にのっける。

かなりおおがかりになるけれど、失敗することはあまりない、ともいえる。
けれど、ここで大事なのは6041を超えるということであり、
一つのスピーカーシステムとしてまとめることである。

そうなるとエンクロージュアをどうするのかが、とても難しく重要となってくる。
6041のエンクロージュアは内部で二分割されていた。
サブウーファーと604-8Gのクロスオーバー周波数は350Hzである。

個人的には604-8Gはもう少し下の帯域まで使いたい(鳴らしたい)。
そのためには604-8Gのバックキャビティはどのくらいにするのか。

それよりも604-8Gをとにかく朗々と鳴らしたい、という欲求が頭を擡げてくる。
バス・ウルトラフレックス型エンクロージュアという選択も、
そのことがあってのものだ。

となると平面バッフルに604-8Gと取り付ける、という方法を考えることになる。

Date: 3月 20th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その25)

アルテックの6041は、アルテックが自発的に開発したシステムとは、
当時高校生だった私でも、素直にそうとは思えなかった。

JBLの4343をそうとうに意識したスピーカーシステムだったし、
日本の輸入元の意向がそうとうに取り入れられたような気もしていた。

実際にそうだった、ようだ。
ステレオサウンドで働くようになって、
編集部の先輩から、そう聞いている。
6041のトゥイーターが日本製だということも、その時聞いている。

だからといって、私にとっての6041の魅力が半減したわけではなかった。
急拵えだったのだろう、おそらくは。

それでも瀬川先生が、あれだけ評価されているのだから、
じっくりとアルテックが本腰をいれて改良モデルを発表していけば、
ロングセラーモデルになったのかもしれない。

当時、アルテックの輸入元とピラミッドの輸入元は同じだった。
だからこそ6041にピラミッドのT1を──、ということを考えてしまうわけだ。

T1はペアで40万円ほどする非常に高価なトゥイーターだった。
6041に搭載されるには、高価すぎるトゥイーターではあった。
それでもステレオサウンド別冊「HIGH-TECHNIC SERIES 3」を読みふけっていた私には、
6041+T1の音は、素晴らしく魅力的なのでは、と思い描かせるだけの力量があったはずだ。

「HIGH-TECHNIC SERIES 3」では、4343の2405のかわりに、
T1にした音について、井上卓也、黒田恭一、瀬川冬樹の三氏が語られている。

T1の音は、JBLよりも明らかにアルテック寄りの音だったはずだ。
この高価なリボン型トゥイーターを聴く機会はなかった。

こんなおもいが、あの当時からある。
なので、いま604-8Gにトゥイーターを足すのであれば、
T1と同じリボン型のエラックの4PI PLUS.2が第一候補にくる。

Date: 3月 17th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その24)

その1)を書いたのは、2009年12月2日である。
この日に、私のところにアルテックの604-8Gが届いた。

その2)で、
《タンノイとアルテック、ふたつとも手に入れてシステムを組むというのは、いまは無理だ》
とも書いている。

なのに、2020年夏にタンノイのコーネッタを手に入れたことで、
アルテックとタンノイ、両方所有することになった。
といってもアルテックの604-8Gは元箱に入ったまま。

コーネッタに搭載されているのはHPD295Aである。
マグネットは、ウーファーとトゥイーターで兼用されている。
アルテックの604は、いうまでもなく独立している。

タンノイもウーファーを足して3ウェイにしたモデル、
さらにトゥイーターも足して4ウェイにしたモデルでは、
ウーファーとトゥイーターのマグネットは独立している。

このことからいえるのは、ウーファー、トゥイーターを足して、
ワイドレンジ化をねらうのなら、マグネットは独立していたほうがいいのかもしれない。

となると604-8Gではシステムでは、やはりワイドレンジをめざしたい。
6041への想いも、そこにはあるからだ。

アルテックのスピーカーシステム、6041は、別項で書いているように、
可能性としては面白くなりそうではあったものの、
結局、アルテックは完成度を高めていくことができなかった。

トゥイーターひとつとっても、6041搭載のトゥイーターがそれほど優れていたとは思えない。
瀬川先生はステレオサウンド53号で、
《♯6041用の新開発といわれるスーパートゥーイーターも、たとえばJBL♯2405などと比較すると、多少聴き劣りするように、私には思える。これのかわりに♯2405をつけてみたらどうなるか。これもひとつの興味である》
と書かれていた。

2405がついた6041の音は、どんなふうに変化しただろうか。
いい結果が得られたような気がするけれど、
実際の製品として、アルテックのスピーカーシステムにJBLのユニットが搭載されることは、
まずない、というよりも絶対にないことだ。

あの当時、6041のトゥイーターとしてベストだったのは、
ピラミッドのリボン型トゥイーターT1だっただろう。

Date: 1月 20th, 2022
Cate: 4350, JBL, 組合せ

4350の組合せ(その15)

その2)で触れている菅野先生の組合せは、
「コンポーネントステレオの世界 ’78」でのものである。

ここでは架空の読者から手紙を受けての組合せであり、
菅野先生の4350の組合せは、
菅野先生録音のオーディオ・ラボのレコードを、
制作者の意図したイメージで聴きたい、というものだった。

そういうこともあって、菅野先生としては、予算はある程度無視しての、
1977年時点での「私なりの理想像をえがいてみる」組合せとなっている。

JBLの4350Aを選択された大きな理由として、
《私自身のレコードの楽しみ方として、きわめてハイ・レベルで聴くという姿勢》があり、
《私自身が制作・録音したジャズのレコードは、実際よりも大きな音量で楽しんで》いるから、
そのためのJBLであり、そのためのJBLのラインナップで最大の4350である。

「コンポーネントステレオの世界 ’78」での菅野先生の4350の組合せは、
記事としては、12ページであり、4350の組合せだけでなく、
予算を考慮した組合せもあっての12ページなのだが、
それでも菅野先生の録音を再生するにあたって、何を大事にすべきなのかが、
きちんと書いてある。
     *
菅野 再生装置というものは、いかなる場合であってもいまあなたがおっしゃった物理的な追求が、音のレベルアップと同時に破壊にもつながっていくことになりうる、そうぼくは思います。だから、このシステムはその心配はないといいきるわけにはいきません。この部屋、つまりステレオサウンド試聴室は、素直な音響特性をもったいい部屋だけど、ここでも簡単にきまるというわけではない。結局、自分自身で、そこから先のことは努力なさっていただくよりしかたがない、としか申し上げられないんですね。そしてそれが、マルチ・チャンネルの、さらにいえばオーディオというものの楽しさであり魅力であると、ぼくは思います。
 少し具体的にいうと、『サイド・バイ・サイド』で使われているベーゼンドルファーというピアノの音は、フェルトハンマーで打弦されたまろやかな音が基調にあり、そのうえに打鍵によって生じる打楽器的な鋭い立ち上りととげのようなハーモニックスがブレンドされたものです。いろいろな再生装置で試聴してみると、しばしばそのどちらかしか聴こえてこないことが多い。つまり、まろやかさだけか鋭いだけか、ということですね。だからぼくが『サイド・バイ・サイド』を使って、再生装置を聴くとき、いちばん注意して聴いているのはそのバランスなんです。そしてそういったニュアンスを出すのには、やはり相当な物理特性が確保されていないと無理なのではないかと思っています。
 たとえばベルリン・フィルとかウィーン・フィルが演奏しているレコードは、割合に小型のスピーカーで、しかも小さな音量で結構楽しめるんですよ。ところがそういった形でこのレコードを聴くと、全く楽しめない。このレコードは、やはりひじょうにハイレベルのリアリティをもった大きな音量で、そして優秀な物理特性の裏づけをもった再生音で聴かないと、十分に楽しんでいただけないとぼくは思います。したがって、いまここに選んだようなシステムにならざるをえないんですね。
     *
別項で以前書いているが、オーディオショウで、
菅野先生録音の「ザ・ダイアログ」をかけているブースがあった。一つではない。

そのどちらも常識的な音量よりも、少し小さな音量での「ザ・ダイアログ」だった。

Date: 1月 18th, 2022
Cate: 4350, JBL, 組合せ

4350の組合せ(その13)

JBLの4350は、いい貌をしているスピーカーシステムだ、といまでもおもう。
4350の改良型として登場した4355。

基本的には同じスピーカーといえる。
4343が4344になったときのユニット配置の変更、
それにともなうデザインの変更と比較すれば、
4350から4355への変更は、ずっとうまく仕上げられている、というか、
4350のイメージを保っていた。

けれどむしろ保っていたから、4350との比較をどうしてもしてしまいがちになる。
そんなことやらなければいいのに……、と自分でも思う。
でも、やってしまっている。

4355は知人が鳴らしていた。
何度も、その音を聴いている。
うまく鳴っている4355の音は、やはりいい。

いいと感じるから、よけいに4355のアピアランスが気になる。
違いはわずかだ。

バスレフポートの数が減ったこと、
レベルコントロールの違いぐらいである。

大きいのはバスレフポートのほうだ。
4350では、フロントバッフル左右に立てに三つずつあったのが、
一つずつになっている。

搭載ユニットも変更になっているから、
比較試聴したからといって、バスレフポートの数が、どれだけ低音再生に関係しているのか、
4350と4355の違いになっているのかを判断するのは難しい。

それでもおそらく4355のバスレフポートの方がいいのだろう。
そうでなければ、JBLがそうするわけがない。

それでも……、である。
カッコいいと感じるのは、4350なのだ。
たかがバスレフポートの数の違いだけ──、と思えないほどの印象の違いが、
4350と4355にはあって、凄みを感じさせるのは、私にとっては4350なのだ。

Date: 1月 17th, 2022
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(2019年製と2021年製)

先日、メリディアンの218に手を加える機会があった。
私が使っているのは2019年製である。
今回、手を加えたのは2021年製である。

型番は218のままで、外観も変化ない。
内部も基本的には同じといっていい。

218の内部を見たことがある、という人でも、気がつかないかもしれない、
そのくらいの変更が2021年製にはあった。

これまで計六台の218に手を加えているから、
2019年製の218と見較べることなく、どこが変更されたのかはすぐに気づく。

2020年製の218にも手を加えているから、変更は2021年製からなのだろう。
変更箇所は二つ。

一つはその通りに変更できるが、もう一箇所はかなり難しい。
この変更箇所によって、どれだけ音が変化しているのか。

じっくり比較試聴してみようか、と思ったけれど、
2021年製が良かったりしたら、マネできない変更があるだけに、
止めとくことにした。

それに、これらの変更箇所がなくとも、
二年以上使っている218と新品の218とでは、本質的な音はかわりなくても、
音の違いはあるものだ。

Date: 11月 20th, 2021
Cate: JBL, Studio Monitor

JBL 4320(その13)

JBLの4320が登場して五十年。
程度のよい4320の数も少なくなっている。

4320に搭載されているユニットは、すべてアルニコマグネット。
アルニコマグネットは衝撃に弱い。

井上先生がよくいわれていた。
アルニコマグネットのスピーカーを、一度ドスンとやってしまうと、
もう元には戻らない、と。

ドスンという衝撃を与えても、見かけはまったく変化なし、である。
けれどアルニコマグネットの性質上、磁気特性がダメになってしまう、とのことだった。

そういうこともあるから、4320の程度のよいモノを見つけ出すことは、
運が味方しないと難しい、と思っている。

それでも一度は自分の手で4320を鳴らしてみたい。
クラシックを4320で聴きたい、とは思っていない。
スカッとした音で、4320を思う存分鳴らしてみたい。

大袈裟な、大がかりなシステムではなく、
ほどほどの規模のシステムで鳴らしたい。

アンプは、GASが、いちばん思い浮ぶ。
AMPZiLLAではなく、その下のモデルのSon of AMPZiLLAでもなく、
Grandsonが合うんじゃないか。

となるとコントロールアンプもTHALIAに決る。
THALIAは、上二つのコントロールアンプの陰に埋もれがちなのだが、
あの時点で、もっとも現代的アンプといえたのは、THALIAである。

Date: 10月 19th, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(10月19日)

コーネッタは、中学生の頃から鳴らしてみたいスピーカーであった。
それがたまたま、思わぬ価格で入手できそうだったから、
ヤフオク!で入札して、幸運にも落札できた。

タンノイの同軸型ユニットには、フロントショートホーンが不可欠、
というのは私の持論だ。

理論的根拠は、特にない。
私が聴いたタンノイの音で、
素晴らしいと感じたのがすべてフロントショートホーン付きだったから、でしかない。

一年前にコーネッタを手に入れて、2020年12月までは、
毎月第一水曜日のaudio wednesdayで鳴らした。

今年から、私の部屋で鳴らしているわけだが、
まだ鳴らしていないディスクがある。

ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーである。
デュ=プレのチェロを鳴らしたい──、そういう気持もあっての、
私にとってのコーネッタである。

いま出している音でも、ある程度の音で鳴ってくれるはず、である。
それでもまだ、という気持がある。

今日(10月19日)は、デュ=プレの命日。
一年後には、コーネッタで聴いているはずだ。

Date: 9月 1st, 2021
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(モニター希望の方は──)

メリディアンの218を自宅で聴いてみたい、という方は、
メール(送信先:info@hires-music.jp) で、
「218モニター希望」というタイトルをつけて問い合せてみてください。

オンキヨーがやっているわけではありません、念のため。

Date: 8月 11th, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(黒バッフルのモデル・その3)

いまヤフオク!に、コーネッタが出ている。
一台はステレオサウンドのキットを組み立てたモノである。
さきほど落札されていた。
二十万円を超えていた。

これが高いのか安いのかは、写真と商品説明だけではなんともいえない。
組立ての技倆がどれだけなのかがまったく不明だからだ。

もとがキットのオーディオ機器の場合、
組み立てる人によって、結果となる音は大きく違ってくる。

エンクロージュアの場合、組立て具合がよくないからといって、
もうどうすることもできない。

もう一台のコーネッタは、いわゆるオリジナルではないが、
これがおもしろいことに私が手に入れたコーネッタにそっくりである。

板材もステレオサウンドのキットとは違う。
そういうところからして、そっくりなのだ。
これも私のコーネッタと同じで、少なくとも写真から伝わってくる雰囲気が同じなのだ。

私のところにあるコーネッタは、腕のいい人が自作したのかな、ぐらいに思っていた。
それにしてもよく出来た造りである。

そっくりのコーネッタの商品詳細を読んで納得した。
そのコーネッタは、ティアックがタンノイの承認を得て、
オートグラフを国内製造していたときの職人が、退職後にコーネッタを製造した、とある。

これが事実なら、おそらく私のコーネッタもそういうことになる。
その可能性は、造りをみていても、かなり高いように思っている。

Date: 7月 1st, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(2020年7月1日)

一年前の7月1日は水曜日だった。
audio wednesdayの日だった。
コーネッタを鳴らした日だった。

ひさしぶりにコーネッタの音を聴いた日だった。
初めて自分の手でコーネッタを鳴らした日だった。

コーネッタで聴いたカラヤンのパルジファルが忘れられないでいる。