Archive for category 作曲家

Date: 12月 6th, 2008
Cate: ベートーヴェン

ベートーヴェンの「第九」(その1)

1989年の映画「いまを生きる」(原題はDead Poet Society)の中盤あたり、
学生たちのラグビーのシーンがある。ここで使われていたのが、ベートーヴェンの「第九」。

バックグラウンドミュージックという扱いというより、
この演奏を聴かせたいがために、監督が、このシーンを撮ったのでは? と勘ぐりたくなるくらい、
そこで聴こえてきた「第九」に胸打たれた。

明晰でしなやかで、素晴らしい演奏。
フルトヴェングラーのバイロイトの「第九」をはじめ、いくつもの「第九」を聴いてきていたが、
そのどれでもない。はじめて聴く演奏による「第九」だった。

エンディングのクレジットが、このときほど長いと感じたこともなかった。
最後の方にやっと出てきた。

フリッツ・ライナー/シカゴSOの演奏だった。
映画館を出て、そのままレコード店へ直行した。

Date: 10月 10th, 2008
Cate: ベートーヴェン

待ち遠しい

今年イチバン楽しみに、その発売を待っていたのが、
アンドラーシュ・シフのベートーヴェンのピアノ・ソナタ集第8巻である。
ECMから出る。10月14日に入荷予定とのことだ。

収められているのは30番、31番、32番。

デッカ時代のシフの演奏にも惹かれるものがあったが、
ECMに移ってからの演奏には、まいった。
最初に聴いたのは、バッハのゴールドベルグ変奏曲。
デッカにも、1980年代に録音しているし、聴いていた。

「20年で、これほど人は成長するのか」──、そうも感じた。

ぼんやりとした記憶だが、当時のシフは、グールドを師、もしくはそういう意味で呼んでいたはずだ。
シフは1953年生れ。二度目のゴールドベルグ変奏曲の録音時(2001年10月)は、
48歳になる二カ月ほど前である。
グールドが二度目のゴールドベルグ変奏曲を録音したときは49歳。
あえて、ほぼ同じ歳になったときを選んだのだろうか。

同じ曲を、ときには難解な言葉を並べて、あらゆる言葉を尽くして語ろうとする演奏家もいるし、
詩のように、言葉をできる限り削ぎ落として語る演奏家もいる。

どちらが素晴らしいとかではない。
そんなことを感じさせる演奏があるということだ。

シフの、いまの演奏がどちらかは聴いてみればわかる。

Date: 9月 6th, 2008
Cate: モーツァルト

モーツァルトの言葉

「天才を作るのは高度な知性でも想像力でもない。知性と想像力を合わせても天才はできない。
愛、愛、愛……それこそが天才の魂である。」 

モーツァルトの言葉。 
いい音を生み出すのも、愛、愛、愛であろう。他に何があろう。