管球王国の休刊(その3)
管球王国で、私が毎号楽しみにしていたのは、vol.8から始まった「管球アンプ変遷史」だ。
井上卓也、上杉佳郎、石井伸一郎、三氏による、この記事は面白かった。
幸いなことに、「管球アンプ変遷史」は別冊「往年の真空管アンプ大研究」に収められていて、いまも読むことができる。
この連載記事の良さは、マランツのModel 1を取り上げているvol.11の中で語られている。
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井上 機能も豊富に揃え、何にでも対応できるようになっていますしね。やはりマランツの一号機は凄いプリアンプだったんですね。
実は、僕は当時のマランツのアンプの中で、#1だけはあまり面白味のないアンプだと思っていたんです。けれども、今回実際に#1のシャーシ内部を見、回路図を丹念に調べてみて、いろいろと細かいことをやっているのがわかって、ずいぶん印象が変わりましたよ。#1が、こんなに面白いプリアンプだとは思っていなかった。
石井 このあたりは、一人で見ていてもなかなか気づかないことが多いんですね。今回はこうして3人でチェックしたことで、いろいろと新しい発見がありました。
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この姿勢は、「管球アンプ変遷史」が終了しても継続されていれば、管球王国は充実した本であり続けたはず。
でも、実際はそうではなかった。