ベートーヴェンの「第九」(その2)
そのころ売られていたライナーの「第九」のCDは廉価盤のみで、
なんら関係のない蝶のイラストが描かれたジャケットで、かなり安かった。
不当に高いのは困るが、あまりに安すぎるのも、大切な音楽が収められているCDがそうだったりすると、
こんな扱いでいいんだろうかという疑問と寂しさに似たものも感じるのは、
音楽好きの方ならわかってくださるだろう。
このころは、イギリスのレコード店からちょくちょくLPを購入していた。
>当時のレコード芸術誌に広告を出していた店で、申し込むと、毎月リストが郵送される。
欲しいモノがあると、申込書に記入して郵送する。
まだ売れていなかったら予約が成立し、入金の案内が送られてくる。
レコードが手もとに到着するまで、けっこうな時間がかかる、のんびりしたやりとりだった。
そのリストの中にライナーの「第九」もあった。イギリスでの評価は高いようで、
記憶では2万円近かった、そんな値がつけられていた。
アメリカからの輸入CDは千円ほど、日本でもそれほど評価は高くなかったと感じていた。
国によって、こんなにも評価が異る。
そういえばエリザベート・シュヴァルツコップが、無人島に持っていきたいレコードに、
ライナー指揮のウィンナ・ワルツ集をあげていたのは、けっこう有名な話である。