Archive for category Cornetta

Date: 6月 29th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その9)

いま手元にはコーネッタのエンクロージュアに入ったHPD295Aがあるわけだが、
それでは、このユニットを使って、
四十数年前に夢見たことをやるのかといえば、そうではない。

やろうと思えばやれるわけだ。
ユニットの選択肢は、当時よりも狭くなっていると感じる部分もある一方で、
拡がっていると感じてもいる。

それでもコーネッタというエンクロージュアに、すでにおさまっているのだから、
そこから取り出して、ということはやりたくない。

やるのであれば、あくまでもコーネッタを活かして、ということになる。
ではコーネッタの隣に、38cm口径ウーファーの入ったエンクロージュアを置くのか。
そんなスペースは、もうない。

仮にスペースがあったとしても、大がかりになる過ぎる。
コーネッタではないが、菅野先生がステレオサウンドで、スターリングをベースにして、
サブウーファーとスーパートゥイーターを足した4ウェイという組合せを試みられていた。

私が、いまやるとなると、このスタイルである。
コーネッタをそのまま活かして、サブウーファーを足す。

私のところにはサーロジックのサブウーファーがある。
やりたくなったら、これを使えばいい。

スーパートゥイーターは、そのあとに考える。
スーパートゥイーターはつけたい気持は強いが、
コーネッタの天板の上に、ポツンとトゥイーターがあるのは、やりたくない。

とってつけたような印象になってしまうからだ。
ドーム型にしてもホーン型にしても、なんらかの細工を施して置くことにしたい。

これが簡単なように思えて、実際にあれこれ考えてみると、そうではなかったりすることに気づく。

Date: 6月 28th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その8)

HPD295Aに追加するウーファーとトゥイーターに何を選ぶか。
タンノイには単体のウーファーもトゥイーターもない。
他社製をもってくるしかないわけだが、
心情的にも、トータルとしての音色の統一ということでも、
どちらもユニットもできることならイギリス製をもってきたい──、
そう思っていても、選択肢は少ない。

HPD295Aは25cm口径だから、ウーファーには38cm口径をもってきたい。
そうなると、当時はセレッションのPowercel 15、
リチャードアレンのCG15、ヴァイタヴォックスのAK155/156ぐらいしかない。

Powercel 15はウーファーということになっているが、
センターキャップはたしかアルミ製だったし、周波数特性的には大口径フルレンジといえる。
CG15は、33,000円とHPD295Aのほぼ半分の価格のということで、
なんとなく格負けしそうな印象をもっていた。

AK155/156が本命といえばそういえたが、
このウーファーをバスレフ型エンクロージュアにいれて、
うまく鳴ってくれるのだろうか──、という印象があった。

イギリス製ということにこだわらなければ、アメリカ製がある。
アルテック、エレクトロボイス、JBLが候補としてあがってくる。

アルテックならば416か515ということになるが、
なんとなくタンノイとうまく合いそうにないと感じていた。
聴いたことがあるわけではないのに、そう感じていた。

エレクトロボイスのウーファーは、主として楽器、PA用ということだった。

そうなるとJBLなのか。
2231Aとか2205、LE15Aなどがあるが、HPD295Aの出力音圧レベルは87.5dB/W/mである。
あくまでもカタログ発表値での数値ではあるが、JBLのウーファーのほうが数dB高い。

ヴァイタヴォックスのウーファーは発表されていなかったが、
JBL以上に高能率のはずである。アルテックもそうである。

つまりマルチアンプでなら、出力音圧レベルがウーファーのほうが高いことは問題にならないが、
LCネットワークでシステムをまとめようとすると、やっかいである。

Date: 6月 28th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その7)

私のところにやってきたコーネッタには、HPD295Aがついてる。
HPD295Aは、私がオーディオの世界に興味をもちはじめた1976年秋、
一本60,000円のスピーカーユニットだった。

同軸型2ウェイというフルレンジユニット。
このHPD295Aというユニットに、より関心をもつようになったのは、
1977年に発売されたHIGH-TECHNIC SERIES-1を読んでからだった。

これも何度も書いている瀬川先生のフルレンジユニットから始まる4ウェイ構想である。
フルレンジ(シングルボイスコイル)からはじめて、次にトゥイーター、
その次にウーファー(この時点でマルチアンプ化)、最後にミッドレンジを加えての4ウェイである。

瀬川先生の4ウェイ構想では、ミッドレンジはJBLの175DLHだった。
瀬川先生のプランどおりにフルレンジから始めてもいいし、
フルレンジ+トゥイーターからのスタートもあるし、
最初から4ウェイとして、というやり方もある。

その人のフトコロ具合や力量に応じてのプランともいえる。

この4ウェイ構想は、学生の私にとって、あれこれ考える(想像する)のが、楽しいものだった。
そのうちに、そうだ、タンノイの同軸型ユニットからスタートするという手もあるということに気づいた。

ぴったりなのが、HPD295Aである。
ユニット構成として、25cm口径のコーン型にホーン型の組合せ。
瀬川先生の4ウェイ構想では、ミッドバスとミッドハイのポジションにぴったりとあてはまる。

HPD295Aからスタートして、トゥイーター、ウーファーを足していくことで、
最終的に4ウェイとする。

こんなことを考えはじめると、タンノイのEatonへの関心もましてくる。
HPD295Aが入っているブックシェルフ型。

まずこれを買って、しばらく楽しんだのちに4ウェイ化していく、という考えだ。
けれど、現実的にはEatonは当時80,000円(一本)していた。

ユニット単体の価格からすれば、安いくらい感じるけれど、
当時高校生になったばかりの私には、かなり高価なスピーカーであった。

それにEatonを手に入れたとして、次のステップとして、
どのメーカーの、どのユニットを選択するのか──、
これがけっこう悩ましかった。

Date: 6月 27th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その6)

ステレオサウンド 55号には、
「ザ・スーパーマニア=故・五味康祐氏を偲ぶ」が載っている。

その55号の編集後記八本のうち二本は、ほぼ記憶している、といっていい。
一本は何度か引用している原田勲氏の編集後記。
もう一本は、Ken氏の編集後記だ。
     *
 ぼくのオーディオは「西方の音」で始まった。以来タンノイこそ理想のスピーカーと信じ、いつしか手にすることを夢みたものである。そんなある日、モニターゴールドを譲ってくれるという人が現われ、五味先生ばりにオート三輪ならぬ2トン積トラックで武蔵野まで取りにいった。コンクリートで補強してあるとかでばかに重いコーナー型の国産箱をなんとか荷台に積み、意気揚々わが家に向けて走り出したとたん、後ろでものすごい音がした。最初のかどを曲がったはずみで箱が一本倒れたのだ。壊してしまったのじゃないかと真っ青になって荷台にあがり、初夏の頃だったので寒風吹きすさぶというわけではなかったが、あとは支えて帰った。
     *
Ken氏は、古くからのステレオサウンドの読者ならばご存知のように、
いまステレオサウンドの筆者の一人の黛健司氏である。

五味先生、黛氏、ふたりのように荷台に乗ってスピーカーを支えるという行為は、
いまでは道路交通法違反になってしまう。

おそらく、どちらのクルマも、荷台が平ボディだったのだろう。
私はバンボディ(荷台が箱になっている、いまでは一般的なタイプ)で、
コーネッタはラッシングベルトでしっかり固定していたから、
荷台で支えることはなかった。

五味先生は、この日のことを「わがタンノイ・オートグラフ」でも書かれている。
     *
 この時までのわたくしは、S氏が追放されたグッドマンを拝借し、同じく追放されたガラードのプレヤーで、ひそかに一枚、二枚と買い溜めたレコードを聴いていた。S氏邸のタンノイを聴かせてもらう度に、タンノイがほしいなあと次第に欲がわいた。当時わたくしたちは家賃千七百円の都営住宅に住んでいたが、週刊誌の連載がはじまって間もなく、帰国する米人がタンノイを持っており、クリプッシュホーンのキャビネットに納めたまま七万円で譲るという話をきいた。天にも昇る心地がした。わたくしたちは夫婦で、くだんの外人宅を訪ね、オート三輪にタンノイを積み込んで、妻は助手席に、わたくしは荷台に突っ立ってキャビネットを揺れぬよう抑えて、目黒から大泉の家まで、寒風の身を刺す冬の東京の夕景の街を帰ったときの、感動とゾクゾクする歓喜を、忘れ得ようか。
 今にして知る、わたくしの泥沼はここにはじまったのである。
     *
五味先生の「泥沼」は「オーディオ巡礼」をはじめ、
五味先生の書かれたものを読んでほしい。

黛氏も、格闘十年間と編集後記に書かれているから、そうだったのだろう。

五味先生も黛氏も、ユニットは15インチ口径、
私はというと、10インチ口径と小さい。

それに二人が最初にタンノイに自分のモノにされた年齢よりも、
ずっと上の年齢になってしまった。

泥沼はないだろう、
けれどタンノイとともに過ごした青春はなかったわけだ。

Date: 6月 13th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その5)

コーネッタに取り付けるユニットの違いは、わかりやすい。
HPDじゃなくて、IIILZ(モニターゴールド)なんですよ、と自慢気に語る人がいたとして、
肝心のエンクロージュアはどうなのだろうか。

ステレオサウンドのキットを組み立てたものだから、それで安心、とか、
何かが保証されているわけではない。

ステレオサウンドの古くからの読者ならば、
海外製のスピーカーシステムは、オリジナル・エンクロージュアでなければならない──、
これは、いわば常識ともいえる。

コーネッタにおけるオリジナル・エンクロージュアは、
ステレオサウンドのSSL1ということになる。
これは間違いないわけだが、
くり返すが,組み立てなければならないのがキットだから、
そこから違ってくる要素が大きすぎることに気づいていない人が、どうもいるように感じる。

ヤフオク!にも、ときどきコーネッタは出てくるようである。
そのコーネッタが、どの程度の技術によって組み立てられたものなのかを、
写真だけで判断するのは容易なことではない。

しかもコーネッタは、そうとうに古い。
1977年に登場しているだから。

私はやってしまったわけだが、
こういうモノを、ヤフオク!で落札してしまうのは、控えた方が賢明である。

実物をみて、音を聴いて納得したのであればいいが、
写真だけで判断してしまうことは、場合によってお金をドブに捨てるようなことにつながる。

私がいえるのは、後悔しない範囲の金額にとどめていたほうがいい、ということぐらいだ。
そのくらい運試しと思っていた方がいい。

Date: 6月 13th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その4)

くり返しになるが、コーネッタというスピーカーシステムは、
ステレオサウンドが販売していたエンクロージュア・キットSSL1と、
タンノイの10インチ口径の同軸型ユニットを組み合わせたものである。

SSL1はキットだから、買った人が組み立てることになる。
アンプのキットでも、組み立てる人の技倆になって、結果は違ってくる。

スピーカー(エンクロージュア)のキットも、まったく同じというか、
むしろそれ以上に難しいのかもしれない。

井上先生は、よくいわれていた。
まったく同じエンクロージュアを二つ作ることは、
木工のベテランであっても、そうとうに困難なことである、と。

接着剤の量の、ちょっとした違いや、
その日の気温や湿度、
その他にもさまざまな要因が絡んできて、
しかもスピーカーのエンクロージュアは大型になればなるほど、
ホーン型であったりすればなおのこと、製作日時をより必要とする。

そのためにどうしてもバラツキが生じてしまう。

コーネッタ(SSL1)のキットは、
ある程度は、購入者が組み立てやすいようにと配慮されている。
この点が、記事中のプロトタイプとの違いの一つでもある。

それでも木工の初心者には、そうとうに難しいキットといえるだろう。

コーネッタは、あのころのタンノイのスピーカーを鳴らしている人、
憧れている人からみれば、挑戦してみたくなる存在であったはずだ。

インペリアル工芸だったと記憶しているが、
コーネッタを、15インチ口径用に大型化したエンクロージュアを製品化していた。

コーネッタのキットを購入した人、
ステレオサウンドの記事を見て、板の切り出しから自作した人、
少なくない数のコーネッタが誕生したのではないだろうか。

アメリカにも、コーネッタを自作したマニアがいる、とfacebookのコメントにあった。
ステレオサウンドのキットだけに絞っても、
出来上がりはピンからキリまで、といっていいだろう。

ましてキットには頼らずに自作したモノとなれば、
もっとピンからキリまでなのかもしれないし、
むしろ逆に、これだけの工作に挑戦する人だから、
それなりの技術をもっている人ともいえるだろうから、
むしろ一定の品質の幅におさまっているのかもしれない。

Date: 6月 10th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その3)

タンノイのコーネッタのことは、別項「程々の音」でも書いている。
ずっと心にひっかかってきている存在である。

コーネッタを、ほどよい大きさの真空管アンプで鳴らしたい、
そして、その音にずっと満足していきたい──、
そんなことを、いわば夢見ているところがあるからだ。

それでも、ながくオーディオをやってきて、
コーネッタの音が、真に求める音とは違うところに位置することもわかっている。

それでも、いつかは……、とおもい続けてきた。
コーネッタへの関心は、強くなったり、そうでなくなったりもした。

欲しいな、と思っていても、手に入れたい! と強い気持を持っていたとはいえなかった。
それが、急にどうしても、と思うようになったのは、
ここでもMQAが関係してくる。

私がコーネッタを聴いたのは、アナログディスクだった。
CDでの音は聴いていない。

MQAで鳴らしたら、コーネッタはどんな音、いや響きを聴かせてくれるのか。
それをどうしても聴きたくなってきた。

どこかで聴ける可能性は極端に低い。
それにメリディアンの218(version 9)+αで聴きたい。

期待しすぎると、がっかりすることになるかもしれない。
それでも、聴きたい、という気持を抑えることができなくなったときに、
タイミングよく、ヤフオク!にコーネッタの出品があった。

コーネッタで検索したわけではない。
なのに、なぜか、お探しの商品からのおすすめのところに、コーネッタが表示された。

それにしても、ヤフオク!の、このおすすめは、どうやって表示されるのだろうか。
どうでもいいモノばかりが表示されると思う時が多いのだが、
コーネッタだけでなく、他にもいくつかあったのだが、
コワイくらいにおすすめのモノが表示されるのは、
これはもう買え! ということだな、と解釈するようにしている。

もちろん価格で手が出せなくなることもあるが、今回はなぜだか違った。
違ったおかげで、コーネッタをMQAで鳴らせる。

Date: 6月 10th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その2)

HPDシリーズのユニットは、
タンノイがハーマンインターナショナル傘下時代の製品である。

そのことから推測するに、
HPD298のコーン紙の裏面に塗布されている特殊な塗料というのは、
JBLのランサプラス的な性質をもつものなのか。

それだけでなくIIILZ MkIIとHPD295とでは、ウーファーのコーン紙の形状も少し違う。
HPD295のほうが、奥に長くなっている。
つまり中高域のホーンの延長であるコーン紙の形状に変化があるということは、
途中からホーンの拡がり方に違いがある、ということにもなる。

こまかなことをいえば、エッジも違う。
HPD295はウレタンのロールエッジである。

なぜ、このような変更がなされたかについては、
「世界のオーディオ」のタンノイ号掲載の「わがタンノイを語る」のなかで、
タンノイのリビングストンが答えている。
     *
 モニターゴールドのとHPDのドライバーのエッジを見ていただくと、おわかりいただけると想うのですが、モニターゴールドの形態というのは波型になっていますが、HPDではこれがより単純な形態になっています。モニターゴールドで、なぜこのような奇妙な形になっているかというと、音のダンピング効果を出すためにこういう形にしたわけです。エッジにはダンプ剤をモニターゴールドまで塗布していたのですが、この工程は、1時間もかかるのです。それに対し、HPDのウレタンフォームのロール状の性能はむしろモニターゴールドよりもアップし、なおかつ生産工程の単純化が図れて、このエッジを作るのにわずか3分で済むというわけです。
     *
エッジの形状の変化、材質の変化、
どちらもハーマンインターナショナル傘下ゆえのことのようにも思える。

このエッジの変更も、ウーファーのコーン紙がホーンの延長となっていることを勘案すると、
ホーンの開口部の形状の変更といえるわけで、
中高域のみを鳴らした状態で、ユニットの新旧を比較試聴してみても、
かなりの変化が聴きとれるように思われる。

もっとも同程度のコンディションの、新旧のユニットが揃うことは、ほぼないわけで、
現実には、コンディションの違いも含めての比較試聴ということになる。

それでも違いは、現実には存在する。

どちらがいいのかは、個々人が決めることであって、
私としては、今回手に入れたコーネッタにはHPD295Aがついているという事実を、
そのまま受け入れるだけのことだ。

Date: 6月 8th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その1)

ステレオサウンド 37号、38号、39号掲載のMY HANDICRAFT、
コーネッタ(Cornetta)は、この記事で誕生している。

私が最初に手にしたステレオサウンドは41号だから、
コーネッタの記事を読んでいたわけではないし、
詳細を知っていたわけでもない。

1978年ごろのステレオサウンド別冊 HI-FI STEREO GUIDEのキットのページに、
このコーネッタは載っている。

ブランドはSSLで、型番はSSL-1。
SSLはStereo Sound Laboratoryの略である。

コーネッタは、このSSL1(エンクロージュア)に、
タンノイの10インチ口径の同軸型ユニットを搭載した状態での名称である。

SSL1に取り付けられるユニットは、IIILZかHPD295(A)のどちらかだろう。
私のところにやってくるコーネッタには、HPD295Aがついている。

なんだ、HPDか……、というマニアが少なくないのは知っている。
HPDシリーズのユニットは、タンノイがハーマンインターナショナル傘下時代のモノだ。

特徴的なのは、ウーファーのコーン紙の裏側に補強リブがある。
これにより振動系の質量は当然増す。
HPD295には、この補強リブはなく、
口径が大きくなる上級機、HPD315、HPD385だけの特徴だ。

HPD295は補強リブはないかわりに、コーン紙裏面の特殊塗料によって、
コーンの強度を増している。

ステレオサウンド 38号には、IIILZ MkIIとHPD295の実測データが載っている。
IIILZ MkIIの振動系の質量は、約24gと約29g、
HPD295となると、約52gと約54gと、ほぼ倍である。

その分f0はHPD295のほうが低い。
この質量差をどう考えるか。

同程度のコンディションのユニットが入手できるのであれば、
HPDよりも……、という気持は私にもないわけではない。

HPDシリーズのユニットを認めないタンノイの熱心なマニアの人たちは、
補強リブに関して、かなり否定的であったりする。

これもわからないわけではない。
けれど、タンノイの同軸型ユニットは、アルテックのそれと違い、
ウーファーのコーンが、中高域のホーンの延長となる。

ならばウーファーの補強リブは、ホーンの補強リブとも考えられるし、
コーン紙裏面の塗料による強度の補強は、
ある種のデッドニングとも考えられよう。