Archive for category アナログディスク再生

Date: 11月 11th, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その8)

テクダスのAir Force Oneとじっくり比較試聴してみたい現行製品となると、
ノッティンガムアナログスタジオのAnna Logである。
外観的には、まるで方向性の違うプレーヤーであるだけに、どういう結果になるのか非常に興味がある。
そういう機会はおそらくない、と思うのだが、
それでもこのふたつのアナログプレーヤーは実物を前にして、音だけにとどまらず、
アナログディスクを再生するメカニズムとしてプレーヤーをどう捉え考えているのかを、
じっくりと比較しながら見ていくことは、おもしろい記事になるとも思っている。

音は聴かなければわからないもの、というよりも、
わからないところがあるものだが、
それでもAir Force OneとAnna Logとでは、前者のクォリティが全般的に上のような気がする。
それでも、アナログディスクを再生することの面白さとなると、
それは必ずしもAir Force Oneがいいとはいえなくなるような気もする。

アナログディスク再生のためのメカニズムをある種のカラクリとして捉えているのであれば、
Anna Logに非常に興味深い存在である。

現行製品の中ではAnna Logぐらいだが、
実際にアナログプレーヤーの購入を検討するときには、必ずしも現行製品だけとは限らない。
過去の製品も比較対象となってくる。

そうなるとAir Force OneとEMTの927Dstはどうなんだろうか。
おそらくずいぶんと傾向の異る音のはずだ。

Date: 11月 10th, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その7)

カンターテ・ドミノは、ステレオサウンドの試聴室では井上先生の試聴の時に、
それこそ数え切れないほど聴いている。
オーディオ機器のチューニングのとき、これ一枚だけでかなりの部分でやられるときも少なくなかった。
だからこそ、井上先生のチューニングによって、カンターテ・ドミノの鳴り方がどう変化していくのか、
それを数多く体験できたのは、こういう場での音の確認の時に役立っている。

ステラのブースに響いていたカンターテ・ドミノの教会は、まぎれもなく木の印象のものだった。
それもピントのあまい音だった、ぼけた感じの音、そういう類の音で木の響きを、
いわばごまかしながら表現しているのではなく、
細部まできっちりと表現しながらも、木の独特の、やわらかな響きが無理なく拡がっていくのがわかる。

このカンターテ・ドミノのレコードを聴いて、
ステラのブースで、いま鳴っている音は信用できる音だと確信できた。
確信できたからこそ、カンターテ・ドミノのあとにかけられたディスクを楽しむことができた。

ステラのブースの、この時の音が、最高の音だとはいわない。
けれど、少なくとも、音楽を聴いていく上で、
しかもこういう場では、聴いたこともないディスクもかけられる。
そういうディスクであっても、そこでの音を信用できる、
という保証をカンターテ・ドミノのレコードの音で得られた。

そのことがAir Force Oneの凄さだと素直に認める。
現行製品のアナログプレーヤーとしては、音だけに関しては最高のモノといえるだろう。

Date: 11月 10th, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その6)

カンターテ・ドミノは、スウェーデンのマイナーレーベルといっていいプロプリウスを有名にした一枚である。

プロプリウスは1960年代末にスタート。カンターテ・ドミノは1976年の録音。
教会でのワンポイント録音、テープデッキはルボックスのA77だった、ときいている。

1979年にスウェーデンのレコード賞を得て、
ヨーロッパのAESのコンヴェンションやオーディオショウでデモンストレーションのレコードと使われることが増え、
注目されるようになっていく。

1981年秋に来日したJBLのジョン・アーグルも、
この時の新製品、4435、4430のセミナーにおいて、カンターテ・ドミノを使っていた、とのこと。

このころになると日本でも話題になっていて、
1982年にマークレビンソンやSAEの輸入元でもあったRFエンタープライゼスが輸入を行うようになった。
日本で広くカンターテ・ドミノが知られるようになり、売れるようになったのは、このころからだろう。

カンターテ・ドミノのディスクは持っていないという人はいるだろうが、
一度も聴いたことがない、という人は少ないように思う。
どこかで耳にしていることが、きっとあるはず。

これほど有名なディスクにも関わらず、
日本人には教会ときくと、石造りのイメージがあるためか、
カンターテ・ドミノの録音が行われた教会もまた石造りだと思っている人がいる。

すでに何度か書いているように、カンターテ・ドミノで使われた教会は石造りではない。
だからカンターテ・ドミノで聴くことができる残響・反響は木の響きをイメージさせるものでなくてはならない。

テクダスのAir Force Oneで鳴ったカンターテ・ドミノは、
木の教会の響きを、実に自然な感じで再現してくれた。

Date: 11月 10th, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その5)

エルプのレーザーターンテーブルのスクラッチノイズの出方が特徴的なのに対し、
テクダスのAir Force Oneでは、いわゆる一般的なアナログプレーヤーの出方なのだが、
ノイズは出ていても、あまり耳につかない。ノイズが尾を引かない。
ノイズの音そのものも低く抑えられている印象である。
つまりいいノイズの出方だった。

このへんは自分で操作しての印象ではないから断定まではてきないけれど、
おそらくノイズの出方の印象に関しては大きく変ってくることはないはず。

このノイズの出方を聴いていると、安心してアナログディスクが聴ける、という感じがしてくる。

ローズマリー・クルーニーの次はバリー・ベラフォンテだった。
その次はエリー・アメリングがかけられた。
このとのアメリングが、私の中にあるアメリングの印象よりもすこしばかり細めに聴こえて、
おやっ、と思うところもあったが、
アンプもスピーカーシステムも初めて聴くものばかりだから、
どこにそう聴こえる要因があるのかははっきりとはしない。

四枚目がプロプリウスのカンターテ・ドミノだった。
カンターテ・ドミノはCDもアナログディスクも何度となく聴いている。
自分のシステムでもかなりの回数聴いてきた。

このディスクの鳴り方で、ほぼおおよそのことは判断できる、ともいえる。

歌が始まる。
この瞬間で、Air Force Oneの実力の高さを確信できた。

Date: 11月 7th, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その4)

スクラッチノイズの出方で、今回のインターナショナルオーディオショウで印象に残っているのは、
タイムロードのブースに鳴っていた、いわゆるレーザーターンテーブルである。

カートリッジという機械式のピックアップではなく、
レーザー光を使った、非接触型のピックアップによるアナログディスク再生を可能にした、
エルプのプレーヤーのことだ。

ちょうどタイムロードのブースにはいったときに、
エルプのレーザーターンテーブルによる音出しだった。
入った瞬間、不思議な質感の音だな、と思って正面をみれば、
アナログディスクのジャケットが、いまかけているディスクとして置いてあった。

しかもスクラッチノイズの出方も、聴きなれた感じとは違う。
どのアナログプレーヤーが鳴っているのか確認してみれば、エルプのレーザーターンテーブルだった。

ダイアモンドの針先が音溝と接触している、これまでのカートリッジによる再生と、
光学式では、トーンアームの振動の問題も含めて、
アナログディスク再生といても、条件はそうとうに異る面・要素をもつ。

そのためなのかどうかは、タイムロードでの短い時間で聴いただけでははっきりしたことはいえないのだが、
それでもノイズが皆無なのではなく、その出方が、これまでとははっきりと違っている。

これだけノイズの出方が違っているということは、
音に関してもそうとうに違う質感で鳴ってきても不思議ではない。

ここでも比較対象となるアナログプレーヤーの音が聴けなかったので、
これ以上音について触れるのはやめておくが、
アナログディスクの音について考えていく上で、決して無視できない存在である。

Date: 11月 7th, 2013
Cate: アナログディスク再生

アナログディスクならではの音(その3)

フィードバックといっても、
位相が逆相であればいわゆるアンプでいうところのネガティヴフィードバック(NFB)に、
同相であればポジティヴフィードバック(PFB)ということになる。
同相か逆相、位相関係がはっきりとこのふたつにわかれるのであればことは簡単なのだが、
実際にはそうはいかずさまざまな位相関係が生じている、とみるべきである。

空気中を伝搬してくる振動に関してはスピーカーからの直接音もあれば、
床や壁に反射(一度の反射もあれば二度三度の反射もある)した音もある。
つまりそれらの位相は互いに干渉しあって複雑なものとなっていることだろう。

床を伝わってくる振動に関しても最短距離で伝わってくる新道もあれば、
そうでない振動もある。
それにプレーヤーはたいていなにがしかの台に置かれていて、
その台を伝わって振動はアナログプレーヤーに到達してくる。

アナログプレーヤーが受けている振動の実際を正確に把握することは無理であろう、
と思えるくらい、外部からの振動の絡みあいにさらされている。

床からの振動は台の重量、材質、構造、設置場所などによってある程度コントロールすることはできる。
それでもある程度である。
それにプレーヤーにもサスペンション機構が備わっている。
これがきちんとしたものであれば、使い手の工夫次第であるところまでは抑えられよう。

けれど空気中を伝わってくる音という振動に関しては、
その影響を逃れるには(小さくするには)、音量を下げるくらいしか手はない。

このことを徹底すれば、
スピーカーから音を出さずにヘッドフォンで聴けばいい、ということになる。

Date: 11月 6th, 2013
Cate: アナログディスク再生

アナログディスク再生に必要なこと

[残心]
①不満や未練が残ること。未練。
②武道における心構え。一つの動作が終わってもなお緊張を解かないこと。剣道では打ち込んだあとの相手の反撃にそなえる心の構え、弓道では矢を射たあとその到達点を見極める心の構えをいう。

辞書(大辞林)には、残心について、こう書いてある。

アナログディスク再生に必要なことはいくつもある。
それらひとつひとつをここでは書かない。

オーディオ機器は音楽が鳴っている時、
つまりオーディオ機器が本来の動作をしているときには、聴き手の手からはなれている。
アナログディスクをかけるときもそうだ。

アナログディスクの上に針先を注意深く降ろしたら、
あとはボリュウムを上げるだけ、である。

だからこそ、この残心が求められる、と私は思っている。
ここでの残心は①の意味ではなく、②の意味であり、
その②の意味でも弓道の矢を射たあとの心構えが、
アナログディスクでの残心に近い。

Date: 11月 5th, 2013
Cate: アナログディスク再生

アナログディスクならではの音(その2)

スピーカーシステムとアナログプレーヤーは同一空間に置かれる。
このことがアナログディスクならではの音と深く関係しているのではないか。

少なくとも私は、音響的・振動的に完全に隔離された別々の部屋に、
それぞれスピーカーシステムとアナログプレーヤーを設置した音は聴いたことがない。
このときの音が、同一空間にスピーカーシステムとアナログプレーヤーを設置した音と共通する、
もしくは同じといえる音であるならば、このことは見当外れということになる。

少なくとも同一空間にスピーカーシステムとアナログプレーヤーがあった場合、
スピーカーシステムから空気を伝わってくる音という振動、
床や壁を伝わってくる振動が、アナログプレーヤーを揺さぶっている。

音が空気中を伝わる速度は約340m/secであるから、
スピーカーシステムとアナログプレーヤーとの距離が3.4mならば、
カートリッジが音溝をトレースして、その信号がスピーカーから出てから1/100秒後にはカートリッジを含めて、
アナログプレーヤー全体を揺さぶっている。

それとは別にスピーカーシステムが空気中に浮んでいないかぎり、
スピーカーユニットからの振動はエンクロージュアを伝わり、床を動かす。床からの振動は壁にも伝わる。
空気中を伝わる速度よりも、固体を伝わる速度のほうが速いから、
床を伝わってくる振動は音として伝わってくる振動よりも速くアナログプレーヤーを揺さぶっている。

これらは、いわゆる振動のフィードバックである。

Date: 11月 5th, 2013
Cate: アナログディスク再生

アナログディスクならではの音(その1)

世の中にはいろいろな方式がある。
入力機器となるアナログプレーヤー、CDプレーヤー、チューナー、テープデッキなど、
それぞれの方式の中で機器による音の違いがあるから、
たとえばアナログディスクならではの音、テープ特有の音ということを、
他の要素から切り離してどれだけ正確に認識できるかというと、あやしいところではなる。

けれどもオーディオも長年やっていて、それぞれの方式の、さまざまな音を聴いていると、
なんとなくではあっても、やはり方式固有の音が存在する、という感じが濃くなってくる。

アナログディスクにも、アナログディスク固有、アナログディスクならではの音がある。
それはテープからは出てこない音だし、CDから聴くことはできない。
その逆もまたいえることである。

もうこれは感覚論であって、技術的な裏付けはほんとうにてきるのだろうか、と思う。
それぞれの方式に固有の音があるのならば、それはその技術と密接に関係しての結果であり、
その技術とは科学の裏付けがあってのものだから、本来ならば技術的に説明できることのはず──、
そうなのだろうが、そういうことはメーカーの技術者、研究者におまかせしよう。

われわれ聴き手は、感覚的であっていい。
感覚的であることが嫌な人は、徹底的に究明するか、方式固有の音なんて存在しない、と否定すればいい。

アナログディスクならではの音は、いったいどういうことが関係しているのであろうか。

Date: 11月 4th, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その3)

ステラのブースで鳴っていたスピーカーもアンプも、それにAir Force Oneも、
私にとっては初めて聴くモノばかりであった。
そういうシステムで、しかも比較対象がない状況でどれだけ正確に音を判断できるのか。
そのことに疑問を持たれるかもしれない。

アナログプレーヤーを、聴きなれているモノと比較できれば、
より正確にAir Force Oneの実力・素姓は掴める。

今日の音出しは、何ひとつ変えることなく、二時間Air Force Oneによるアナログディスクの再生だった。
同じディスクのCDが再生されることもなかった。

それでもアナログディスクにはスクラッチノイズが、宿命的につきまとう。
そしてこのスクラッチノイズが、こういうなにもかもが聴くのが初めてのシステムであっても、
確かな基準となってくれる。

別のブースでのことだが、ここでもアナログディスクがかけられていた。
高価なカートリッジ、高価なトーンアーム、高価なターンテーブル、
トータル金額はAir Force Oneには及ばないものの、かなり高価なシステムである。
このシステムも、初めて聴くモノばかりで構成されていた。

このプレーヤーでのスクラッチノイズは出方は、
私が良しとするアナログプレーヤーでので方とは異質の出方だった。
ノイズの量としては多くはないけれど、やけに耳につく。
なぜ、そういうノイズになってしまうのか、
そのアナログプレーヤーを自分の手で調整してみて音を聴いてみないとはっきりとしたことは何も言えないが、
ただ単に調整がおかしいだけとは思えない、そんなノイズの出方・質(たち)であった。

Date: 11月 4th, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その2)

朝からの用事が予想以上にはやく片づいたので、今日もインターナショナルオーディオショウに行ってきた。
会場に着いたのが13時ごろ。

まずアークのブースに行き、VOXATIVが鳴らされる時間をチェックして、
それまでの間リンのブースに行っていた。
それからアークのブースに15時までいて、
ふと前を通りかかったステラのブースに入ったら、
ちょうど柳沢功力氏によるテクダスのAir Force Oneの音出しが始まるところだった。

一昨年展示してあったAir Force One、
この時は音は聴けなかった。
去年はインターナショナルオーディオショウに行けなかった。
なのでやっと今年、その音を聴くことができた。

最初にかけられたディスクは、柳沢氏ということから、すぐに、あれか、と思われる方も少なくないと思う、
ローズマリー・クルーニーだった。
このローズマリー・クルーニーのディスクは所有していないけれど、
何度か聴いたことのあるディスクである。

ローズマリー・クルーニーのディスクの上にカートリッジの針先が降ろされ、
音が鳴り出すまでのわずかの間、ここから、おっと思わせる。
音が鳴る。
見事だ、と素直に思える音が鳴ってきた。

アナログディスク再生に関しては、これまでいくつかの印象に強く残る出合いがある。
トーレンスのReferenceを初めて聴いたときのこと、
EMT・927Dstを聴いた時、
トーレンス101 Limitedを手に入れての、はじめての音出し。
その101 LimitedにノイマンのDStとDST62を取り付けて鳴らした音、
マイクロのSX8000IIをステレオサウンドの試聴室で初めて聴いた時、
そしてそのSX8000IIにSMEのSeries Vを取り付けて聴いた時、などである。

テクダスのAir Force Oneの音も、そうなる。
特にSeries Vを聴いた時、アナログディスクでもここまで鳴るのか、と、
アナログディスクの仕組み上のあきらめなければならないと思っていたことを、
Series Vは見事に克服していた。

そのSeries Vに感じた、同じことをAir Force Oneにも感じていた。

Date: 11月 2nd, 2013
Cate: アナログディスク再生, ショウ雑感

2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その1)

インターナショナルオーディオショウに行ってきた。
今年もアナログディスクをかけることがいくつかあった。

あるブースでもかけられていた。
一枚目は旧い録音で、私は聴くのが初めてのディスクだった。
それでも曲の途中でトレースがおかしくなっているところにすぐ気がついたし、
それが録音に問題があるのではなく、カートリッジを含めてトーンアームの調整に不備があるということは、
すぐに判断できる、そのような不備だった。
しかも、このときの音の不備はふたつあった。
トレース不良と出力レベルの不安定さ、である。

それでもこのブースで音出し(装置の操作)を担当している人は気がつかなかったのか、
二枚目のアナログディスクをそのままかけた。
こちらのディスクは何度も聴いたことのあるディスク。

何曲目を鳴らすのかは事前にはアナウンスはなかったけれど、
鳴り始めたら、すぐに何曲目かはわかるし、
この曲ならば、ここにきたら一枚目よりももっとはっきりと不備が出てくるであろうことは予測できた。

そのとおりに、調整の不備が音が出てしまった。
そしてやっと調整に不備があって、すいませんでした、と担当者がいう。

調整に不備があってはならないこととはいえ、
ああいう会場では何かがおきてもふしぎではないから、
もうすこししっかりしてほしい、とは思いつつも、これを強く非難しようとは思わない。

ただ問題にしたいのは、一枚目のアナログディスクでも軽微とはいえ、
調整の不備による音のおかしさはあらわれていた。
なぜ、ここで担当者、そのブースのにいたほかのスタッフは気がつかなかったのか、ということ、
これについては書いておく。

つまり装置を操作していた担当者は、一枚目のアナログディスクの音をほとんど聴いていなかった、
そうとしか思えない。
きちんと聴いていればすぐになんらかのアクシデントが起っていることはわかるのだから。

にも関わらず二枚目のディスクで、もっとはっきりとあからさまに出て初めて気がつくということは、
聴きに来ている人たちに対して、不誠実だといえなくもない。

Date: 10月 29th, 2013
Cate: アナログディスク再生

「言葉」にとらわれて(トーンアームのこと・その5)

別項の、EMT 930stのこと(その6)で、
レコードが回転しているからこそカートリッジは発電し、音声信号を得られる、と書いた。

つまりトーンアームの実動作時はレコードが回転していることが条件となる。
とするとレコードの回転とはターンテーブルプラッターの回転であり、
回転には回転軸があり、そこは支点であり、
トーンアームの支軸とカートリッジの針先とのあいだの長いスパンよりも、
さらに長いスパン(トーンアームの支軸とターンテーブルプラッターのシャフト)が存在することになる。

Date: 10月 29th, 2013
Cate: アナログディスク再生

「言葉」にとらわれて(トーンアームのこと・その4)

ワンポイントサポートのトーンアームの実動作時には二点支持として捉えると、
その一方の支持でカートリッジ針先、
これはカンチレバーに嵌合されていて、そのカンチレバーの広報にはダンパーがあり、
サスペンションストリングがあり、それらの構造によって定まる支点があるわけだから、
カンチレバーも二点支持ということになる。

つまり長いスパン(トーンアームの支軸とカートリッジの針先)の二点支持の中に、
短いスパン(カンチレバー)の二点支持が存在しているかっこうになる。

Date: 10月 24th, 2013
Cate: アナログディスク再生

「言葉」にとらわれて(トーンアームのこと・その3)

ワンポイントサポートというから、
頭の中だけで考えていると、一点支持ということに気を取られてしまいがちなる。

たしかにレコードの盤面にカートリッジを降ろしていなければワンポイント(一点支持)である。
だが実際に動作は、レコードの音溝にカートリッジの針先を落す。

この状態では、つまりは一点支持ではなく二点支持になっている。
一点はトーンアームの回転支軸の先端が鋭いピボット、
もう一点はカンチレバーの先端についているダイアモンドの針先である。

どちらも先端が尖っている形状をしている。
カートリッジの針先は音溝をトレースするわけだから、先端が下を向き、
トーンアーム回転支軸のピボットは上を向いている。

つまりは、カートリッジを含むトーンアームパイプは、
この二点によって支持されている、と見るべきだし、考えるべきものである。