2013年ショウ雑感(アナログディスク再生・その7)
カンターテ・ドミノは、ステレオサウンドの試聴室では井上先生の試聴の時に、
それこそ数え切れないほど聴いている。
オーディオ機器のチューニングのとき、これ一枚だけでかなりの部分でやられるときも少なくなかった。
だからこそ、井上先生のチューニングによって、カンターテ・ドミノの鳴り方がどう変化していくのか、
それを数多く体験できたのは、こういう場での音の確認の時に役立っている。
ステラのブースに響いていたカンターテ・ドミノの教会は、まぎれもなく木の印象のものだった。
それもピントのあまい音だった、ぼけた感じの音、そういう類の音で木の響きを、
いわばごまかしながら表現しているのではなく、
細部まできっちりと表現しながらも、木の独特の、やわらかな響きが無理なく拡がっていくのがわかる。
このカンターテ・ドミノのレコードを聴いて、
ステラのブースで、いま鳴っている音は信用できる音だと確信できた。
確信できたからこそ、カンターテ・ドミノのあとにかけられたディスクを楽しむことができた。
ステラのブースの、この時の音が、最高の音だとはいわない。
けれど、少なくとも、音楽を聴いていく上で、
しかもこういう場では、聴いたこともないディスクもかけられる。
そういうディスクであっても、そこでの音を信用できる、
という保証をカンターテ・ドミノのレコードの音で得られた。
そのことがAir Force Oneの凄さだと素直に認める。
現行製品のアナログプレーヤーとしては、音だけに関しては最高のモノといえるだろう。