オーディオ 夢モノがたり(その6)
カートリッジにおけるベンディングウェーヴ方式──、
そんなことが可能なのか。可能だとすれば、どういう構造になるのか。
この一年、そのことをずっと考えてきたわけではない。
数か月ごとに、ふっと思い出しては、どうすればいいのか、ぼんやりと考えていた。
考えていた、と書いたけれど、考えていた、とはいえないレベルでのことだが、
それでも、なにか突破口となるの切り口はないのか、と考えていた。
それで気がついたのが、リボン型カートリッジのことだった。
リボン型は、MC型の一種である。
MC型はMoving Coilということからもわかるように、
マグネットが固定されていて、コイルが動くことで発電する。
このコイルの巻数を極限まで減らしていったら……、
それはもうコイルではなくなってリボンになってしまうわけだが、
スピーカーユニットでリボン型があるように、カートリッジにもリボン型のカートリッジが、
日本のナガオカが製品化していた。
最初のころはナガオカの名前で、後にジュエルトーンのブランドで出していた。
おそらくリボン型カートリッジはナガオカ/ジュエルトーンだけだったはずだ。