ワイドレンジ考(その4)
多重ループに、外部もしくはオーディオ機器の内部からなんらかの電流が誘起されると、
同相成分(コモンモード)が発生する。
多重ループの影響から逃れるために、システム全体をシンプルにしろ、というのは
簡単で確実な方法ではあるが、後ろ向きの解決方法であるという印象も拭えない。
またシンプルを、どう捉えるかも別の問題として浮び上がってくる。
現代のCDプレーヤー、アンプなど電子機器に求められる性能は、
CMRR(Common Mode Rejection Ratio)同相信号除去比の高さだろう。
比較的低い周波数だけでの高いCMRR値ではなく、可聴帯域をこえて、
かなり高い周波数まで、できるだけフラットで高い値の実現。
現代OPアンプのなかに、数MHzまでフラットなCMRR値を持つものも出てきている。