LS5/1Aにつながれていたのは(その1)
「なぜ、これだけなの?」と思ったのも、ほんとうのところである。
1982年1月、ステレオサウンド試聴室隣の倉庫で、
瀬川先生の愛機のLS5/1A、LNP2L、A68を見た時に、
そう思い、なんともさびしい想いにとらわれた。
それからしばらくして、4345がどこに行ったのかをきいた。
それでも、なぜ、これだけなのか、と当時はずっと思っていた。
けれど、いま思うのは、この3機種こそ、
瀬川先生にとっての愛機だったのだということである。
「なぜ、これだけなの?」と思ったのも、ほんとうのところである。
1982年1月、ステレオサウンド試聴室隣の倉庫で、
瀬川先生の愛機のLS5/1A、LNP2L、A68を見た時に、
そう思い、なんともさびしい想いにとらわれた。
それからしばらくして、4345がどこに行ったのかをきいた。
それでも、なぜ、これだけなのか、と当時はずっと思っていた。
けれど、いま思うのは、この3機種こそ、
瀬川先生にとっての愛機だったのだということである。
瀬川先生の終の住み処となった中目黒のマンションでのメインスピーカーは、JBLの4345。
アナログプレーヤーは、パイオニア・エクスクルーシヴP3を使われていた。
アンプは、マーク・レビンソンのペアだと思っていた。
ML7Lのことも高く評価されていた(ただし、これだけでは満足できないとも書かれていたけど)し、
パワーアンプは、やはりレビンソンのML2Lだと、そう思いこんでいた。
けれど、昨年11月の瀬川先生の27回忌の集まりの時に、
当時サンスイのAさんの話では、アキュフェーズのC240とM100の組合せだった、とのこと。
たしかにステレオサウンドに掲載されたM100の新製品のページは瀬川先生が書かれていたし、
そうとう高い評価以上に、その文章からは音楽に浸りきっておられる感じが伝わってきた、と記憶している。
C240もお気に入りだったらしいから、この組合せで鳴る4345の音と、
ステレオサウンドの記事で、世田谷のリスニングルームで行なわれた、
オール・マークレビンソン(ML2L、6台)で鳴っていた4343とは、もう別世界だろう。
4343と4345の鳴り方の違い、マークレビンソンのアンプとアキュフェーズのアンプの音の違い、
それから世田谷で使われていたEMT927Dstとマイクロの糸ドライブ、
それらとエクスクルーシヴP3の性格の違い、
この時期のステレオサウンドの新製品の記事、
SMEの3012R、JBLの4345、アキュフェーズのM100を記憶の中から呼び起こす。
そこに共通するものを感じるのは私だけだろうか。
マークレビンソン(Mark Levinson)というブランドが、 他のオーディオ・ブランドと異なる点は、
ブランドに、自分の名前をフルネームでつけたことではないだろうか。
マークレビンソン以前にも、マランツ、マッキントッシュなど
創立者、中心人物の名前をブランドにしたメーカーはいくつもある。
けれど、どれもファミリーネームだけで、 創立者のフルネームをそのままブランドにはしていない。
フルネームをブランドにしたメーカーは、
マークレビンソン以外にも、JR、JBLなどがあるが、創立者のフルネームのイニシャルどまり。
最近ではジェフ・ロゥランド・デザイン・グループが、 創立者のフルネームを使っているが、
これは最初ローランド・リサーチだった。
それが日本のローランド社からのまぎらわしいとのクレームで、
日本語表記がロゥランド・リサーチになり、 それでもまだ不十分ということで、 現在の社名になったわけで、
マークレビンソン(Mark Levinson)とは異なる。
バウエン製モジュールのLNP2と 自社製モジュールのLNP2の音の違いは、
このことは大きく関係しているように思えてならない。
1980年のことだから、ずいぶん昔のことだが、そのとき、感じていた、ある疑問を思い出した。
ステレオサウンドの夏号(55号)のベストバイの特集(このころベストバイは夏号だった)で、
各筆者がそれぞれのマイベスト3をあげられている。
瀬川先生が挙げられたのは、スピーカーはJBLの4343とL150とKEFのローコストモデル303、
コントロールアンプは、マークレビンソンのLNP2LとML6L、それにアキュフェーズのC240。
パワーアンプは、たしかアキュフェーズのP400に、マイケルソン&オースチンTVA1、
それにルボックスのA740だった(と記憶している)。
プレーヤーはマイクロの糸ドライブ、エクスクルーシヴのP3とEMT930stだ。
疑問に思っていたのは、パワーアンプのベスト3に、
なぜマークレビンソンのML2Lをあげられていないかだった。
コントロールアンプではLNP2LとML6Lと、マークレビンソンの製品を2つあげられているし、
価格的に高価なものを除外されているわけでもないにも関わらず、ML2Lがない。
このとき、以前愛用されていたSAEのMark2500は製造中止になり、
新シリーズに移行していたので、Mark2500がないのはわかる。
ML2Lがないのはなぜ?
当時理解できなかったこのことも、いまなら、ぼんやりとだがわかる。