Date: 2月 12th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その13)

ここに書いていることを読んで、
コンデンサー型スピーカーへの電源供給を、
モバイルバッテリーが作り出すAC電源で、という人がいるのかはなんともいえない。

数人くらいはいるかもしれない。
その中には、PowerHouse 90一台で好結果が得られたのならば、
左右のスピーカーにPowerHouse 90を一台ずつ用意すれば、
バッテリー自体も長持ちするし、音もさらに良くなるのではないか。
そんなうふに考える人もいるかもしれない。

けれど、ほんとうにPowerHouse 90一台よりも二台のほうが好結果が得られるだろうか。
PowerHouse 90は60Hzの交流を供給できるが、
複数台使用にあたって、その60Hzを同期させることはできない。

それぞれ独立した60Hzが供給されるわけで、
そのことによる影響がないとは考えにくい。
仮になかったとしても、複数台使用であれば同期していたほうが精神的には好ましい。

なので3月6日のaudio wednesdayでは、一台のPowerHouse 90からの供給のままだ。

Date: 2月 11th, 2024
Cate: 「スピーカー」論

サウンドラボ 735のこと(その2)

コンデンサー型スピーカーの動作原理を知ると、
この方式こそが、理想のスピーカーのありかたでもあるし、実現なのだ、という気がしてくる。

薄い振動膜は同容積の空気よりも軽かったりする。
その振動膜全面に駆動力が加わり、ピストニックモーションをしているわけだから、
一枚の振動膜で、ほぼ全帯域の再生が可能になる。

ウーファー、スコーカー、トゥイーターとユニットを帯域ごとに分割する必要性がない。
これまで素晴らしい変換方式は、他にないのではないか。

コンデンサー型スピーカーを知ったばかりのころ、そう受けとめていた。
それにマーク・レヴィンソンがHQDシステムの中核に、
QUADのESLをダブルスタックで採用したことも、このことに大きく影響を与えている。

やはりコンデンサー型スピーカーなのか──。
とはいえQUADのESLは3ウェイだった。
そこにハートレーのウーファーとデッカのトゥイーターを足しているのだから、
全体としては5ウェイという、そうとうに大がかりなシステムでもあった。

コンデンサー型スピーカーならばフルレンジ。
そんなふうにも考えていたところに、アクースタットのモデルが登場した。

ステレオサウンド 43号にAcoustat X、49号にMonitorが、
新製品紹介記事に登場している。

どちらも駆動アンプ搭載(管球式のOTL方式)で、
Acoustat Xは振動パネルが三枚、Monitorは四枚のモデルだった。

どちらもモデルも聴いてみたかったけれど、聴く機会はなかった。
アクースタットのコンデンサー型スピーカーを聴いたのは、
別項で何度も書いているように、
ステレオサウンド別冊「サウンドコニサー(Sound Connoisseur)」で取材だった。
1982年の初夏だった。

43号から五年経っていた。

Date: 2月 11th, 2024
Cate: ジャーナリズム, ステレオサウンド,

オーディオの殿堂(続・感じていること・その4)

《過去を大きな物語として語れる》人ばかりになりつつあるように感じるオーディオの世界。

過去への無知、怠慢、そして忘却が根底にあるのだろう。
でも過去への無知、忘却があるからこそ、仕事してではなく商売として成り立つのだろう。

Date: 2月 10th, 2024
Cate: 「かたち」

音の姿勢、音の姿静(その4)

「音で遊ぶ」オーディオマニアなのか、
「音と遊ぶ」オーディオマニアなのか。

そんなことを、別項にて以前書いた。
世間一般では「音で遊ぶ」人がオーディオマニアという認識かもしれないが、
私は「音と遊ぶ」人こそがオーディオマニアだと確信しているが、
だからといって、世の中のオーディオマニアのすべてが「音と遊ぶ」人ではないし、
なんとなくの感じでしかないが、「音で遊ぶ」人のほうが、
世間一般の認識と同じように、多いのではないのか。

他人の楽しみ方なんて、どうでもいいことだ。
「音で遊ぶ」人は、まわりにいなくていい。

「音で遊ぶ」人は、音の姿勢、音の姿静はどうでもいいことなのだろう。

Date: 2月 9th, 2024
Cate: 戻っていく感覚

戻っていく感覚(「風見鶏の示す道を」その19)

2月7日のaudio wednesday (next decade) では、
1月では横長で使ったけれど、スピーカーの性質が大きく違うこともあって、
縦長でのセッティングとなった。

聴いていて、ふと気づいたことがある。
この部屋のプロポーションは、どこか列車(電車)の車輌のようだ、と。

そして私を含めて、その場で聴いている人は、同じ車輌に乗り合わせた乗客だ、と。

現実の電車がそうであるように、乗っている人たちはほぼ見知らぬ人ばかりである。
偶然、その電車(車輌)に乗り合わせた人たちといえる。

そんなことを考えていた。
そして、その行き先は鳴らしている音楽が示していることも。

そんなふうに感じてしまうのは、黒田先生の「風見鶏の示す道を」を読んでいるからだ。

Date: 2月 9th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その12)

2月7日のaudio wednesday (next decade) – 第一夜では、サウンドラボ 735を鳴らした。
735はコンデンサー型スピーカーだから電源を必要とする。
一台あたり2W程度の消費電力である。

このくらいならばモバイルバッテリーからでも数時間ならば、十分実用になるはず。
アンカーのPowerHouse 90から、AC110V、60HzのAC電源を735へと供給した。

音は変化するのは、試す前からわかっていたことだし、
いい方向への変化なのも予想はついていた。
問題は、どのくらいの時間、使えるのかだ。

audio wednesdayは三時間である。
その前から鳴らしているわけだから、2月7日はほぼ五時間、
PowerHouse 90から735へと電源を供給していた。

終了してPowerHouse 90のインジケーターをみると、六割程度の残量だった。
ということは2W+2W程度の消費電力であれば、十時間以上は使えるはずだ。

サウンドラボはアメリカの会社だから、
サウンドラボのコンデンサー型スピーカーにとっては60Hzが標準といえる。
東日本は残念ながら50Hz。

PowerHouse 90を使えば60Hzを供給できる。
このメリットは小さくない。

Date: 2月 9th, 2024
Cate: きく

野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その10)

昨年の5月28日に開催された野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会が、今年も開催される。
5月26日(日曜日)の予定だ。

詳しいことが決定次第、お知らせする。

Date: 2月 8th, 2024
Cate: 「スピーカー」論

サウンドラボ 735のこと(その1)

昨夜のaudio wednesday (next decade) – 第一夜は、
サウンドラボのコンデンサー型スピーカーシステム、735を、
クレルのパワーアンプ、KMA200、
アキュフェーズのSACDプレーヤー、DP100 + DC330で鳴らした三時間だった。

サウンドラボのスピーカーは、ステレオサウンドにいたころに聴いている。

A1、A3時代のサウンドラボである。
現在のラインナップでは、745がA1、645がA3の後継機に位置づけられているようだ。

今回、聴いたのは735である。
最初、745か645になる予定ときかされていたが、735になった。

サウンドラボのウェブサイトをみても、735というモデルはない。
735は、745をスリムにしたプロポーションで、ひと目見て、
アクースタットのModel 3のことを思い浮べていた。

アクースタットのModel 3よりも背は高い。
だからよけいにスリムに見える。
いい感じだな、と思いながら眺めていた。

17時をこえたあたりから、おもいつくままCDをかけていた。
すでに書いているように、一曲目は決めていた。
“FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”のSACDである。

開始時間は19時。
ディスクをかけかえながら、早く始まらないか、と待ち遠しかった。
自分ひとりのためにかけてもよかったのだが、
一曲目と決めていたから、やはりそこまでとっておきたかった。

Date: 2月 8th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第二夜・Sound Lab 735 + Meridian ULTRA DAC

3月6日のaudio wednesday (next decade) – 第二夜は、
タイトルの通りである。

昨夜鳴らしたサウンドラボのコンデンサー型スピーカーシステム、735を、
3月も鳴らせることになった。
アンプも引き続き、クレルのKMA200を使う。

そして第二夜では、メリディアンのULTRA DACの登場だ。

Date: 2月 7th, 2024
Cate: plain sounding high thinking

オーディオはすでに消えてただ裸の音楽が鳴りはじめる(その16)

《オーディオはすでに消えてただ裸の音楽が鳴りはじめる》
カザルスの無伴奏チェロ組曲を、どう響かせるかが、その答なのだろう。

Date: 2月 6th, 2024
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(audio wednesday)

audio wednesdayで音を鳴らしていくことは、
私はアンチテーゼとしての「音」と考えている。

Date: 2月 6th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第一夜(いよいよ明日)

明日(2月7日)は、audio wednesdayである。
明日でよかった、といま思っている。雪の影響をあまり受けずにすみそうだからだ。

今回は数人の方が手伝ってくれる。
スピーカーもアンプも大型なので、手伝いがあるとほんとうに助かる。
それに金曜日の夜、膝の靭帯を痛めてしまい、
土曜、日曜とじっと安静にしていた。

正直痛めた瞬間は、水曜日無理かも……、と思ってしまったほど痛く辛かった。

いまも階段の昇り降り(特に降り)は、ちょっとつらいものがあるだけに、
今回はいつも以上にありがたく感じている。

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

野口晴哉記念音楽室の住所は、
東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2500円いただく(ワンドリンク付き)。

Date: 2月 5th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第一夜・組合せのこと

2月7日の組合せは、
スピーカーシステムにサウンドラボの745、
パワーアンプにクレルのKMA200、
SACDプレーヤーにアキュフェーズのDP100 + DC330という、
年代的にまったくバラバラとなっている。

オーディオ雑誌の組合せでは、こういう組合せは絶対にない。
現行製品だけでの組合せなのだから。

けれど現実はどうだろうか。
一度、システム全体をポンと買える人ももちろんいるが、
多くは、最初のシステムからグレードアップしてきた人たちのはずだ。

それゆえにオーディオ歴が長ければ、
さまざまな年代のオーディオ機器が組み合わされることになる。
そうでなくとも若い世代であっても、あえて過去の製品を選ぶ人もいる。

最新のスピーカーシステムには最新のアンプを、とは私も思っている。
古いスピーカーシステムには同時代のアンプを──、とはあまり思っていない。

確かに同時代のスピーカーとアンプの組合せも魅力的な音を聴かせてくれることもあるが、
古いスピーカーシステムを新しいアンプで鳴らした時ならではの音も、また魅力的だからだ。

特にコンデンサー型スピーカーのように、パワーアンプへの要求が厳しいタイプであれば、
その傾向は強くなるともいえる。
QUADのESLが、まさにそうであるようにだ。

そういうことがわかったうえで、今回はクレルのKMA200で鳴らしてみたかった。
クレルの創業者のダニエル・ダゴスティーノは、クレルの前にはデイトンライトにいたことがある。

デイトンライトのスピーカーはガス入りコンデンサー型で、
とにかくパワーアンプの安定度を要求した、ときいている。

ならばダゴスティーノは、
コンデンサー型スピーカーを鳴らすパワーアンプに求められることを理解していたはずで、
初期のクレルのパワーアンプのフラッグシップであるKMA200は、
きっとコンデンサー型スピーカーを不安なく鳴らしてくれるはず。
そういうおもいがある。

それに私自身の経験からも、QUADのESLをSUMOのThe Goldで鳴らしていたから、
パワーアンプの「性能」次第でコンデンサー型スピーカーの能力は大きく変る。

特に低音域の再現力において顕著だ。

当日、この組合せがうまくいくのか。
ひどい結果にはならないだろうが、こればかりは鳴らしてみないことには何も言えない。
それでも期待だけはふくらんでいく。

Date: 2月 4th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第一夜・SACDプレーヤーのこと

今週水曜日のaudio wednesday (next decade) – 第一夜で使うSACDプレーヤーは、
アキュフェーズのDP100 + DC330だ。

いまとなっては二十年以上前のモデルだが、
それでもソニー独自のピックアップ固定で、ディスク移動のメカニズムは、
いまも、その良さを失っていないと受けとめている。

DP100に搭載されているメカニズムは、ソニーのSCD1搭載と同じモノなのは知られているとおり。
このソニー独自のメカニズムは、ずっと以前にも存在していた。

ソニー初の業務用CDプレーヤー、CDP5000の開発でうまれたメカニズムだ。

CDP5000の音を、ステレオサウンド試聴室で聴いた時の驚きは、いまも憶えているほど、
その音の安定感は、当時のどのCDプレーヤーよりも見事だった。

価格的に大きさ的にも購入したいと思わせるモノではなかったけれど、
この安定感が、他のCDプレーヤーで聴けるようになるのは、どのくらい待てばいいのだろうか。
そんなことを考えていたこともあわせて思い出す。

このメカニズムはとっくに製造中止になっているから、
ディスクを読みとらなくなったら、それでお終い。

いまのところ、2月7日にはきちんと動作してくれるはずだ。

Date: 2月 4th, 2024
Cate: ステレオサウンド

管球王国 Vol.110(その4)

(その1)で書いているようにVol.110から、
Kindle Unlimitedで読めるようになっている。

いま書店に並んでいるVol.111もKindle Unlimitedで読める。
その一方で書店で見かけなくなった。

1月30日発売だったはずだが、いくつかの書店を見たけれど、置いてない。
もともと取り扱っている書店は少ないのだが、
いずれもそれまで扱っていた書店にも関わらずだ。