audio wednesday (next decade) – 第四夜・Western Electric 757A(オリジナルとレプリカ・その2)
ウェスターン・エレクトリックの757A。
なぜ757Aが二台(ステレオペア)でないのか。
野口晴哉氏の時代、このスピーカーシステムを二台手に入れるのは、かなり困難だったはず。
1980年代に入ると、ウェスターン・エレクトリックを扱う業者も増え、
アメリカの倉庫や映画館などを捜してまわる人たちも出てきて、
お金さえ積めば二台手に入れることも可能になったことがある。
757Aのペアの音を聴いたことがあるのかときかれれば、一応ある、というふうに答えている。
あるところで聴いてはいる。
でも、757Aの真価をそこで聴いたとはまったく思っていない。
鳴っているのを聴いた、そのレベルであった。
757Aよりも、他のスピーカーユニット、たとえば594A、555を聴く機会のほうが多かった。
野口晴哉氏は、757Aをペアで揃えたかった──、
私は勝手にそう思っている。
でも叶わなかった。
だから757Aのレプリカを作られたのだろう。
野口晴哉氏の真意を知る人は、もう誰もいない。
その音を聴いて探っていくしかない。
探っていきたい。
探っていける音を出していきたい。