同軸型はトーラスなのか(続×六・JBL SA600)
1989年に登場したS9500以降、JBLのスピーカーの極性は、
いわゆる逆相から一般的な正相型へとなっていった。
それ以前のJBLのスピーカーユニットは逆相仕様になっていた。
ならばスピーカーシステムの入力端子(もしくはパワーアンプの出力端子)のところで、
スピーカーケーブルの+と−を反対に接げばそれですむことじゃないか、と考える人もいる。
けれど実際には、ここで極性の反転を行なってしまうと、極性の反転以外の要素も変化していて、
厳密には極性の正相・逆相だけの違いを聴いているわけではなくなってしまう。
パイオニアの一部のスピーカーシステムはネットワークのバランス化を1980年代からはじめていたが、
それ以外のスピーカーシステムに関してはアンバランス構成であるから、
スピーカー端子のところで極性を反転させることは、
パワーアンプもアンバランス出力であれば、
ネットワークのアースラインがパワーアンプのアースラインに接続されず、ホット側に接続されることになる。
もちろんこの状態でも音は鳴るし、パワーアンプやスピーカーシステムが故障してしまうわけでもない。
でもこれでは極性以外の変化が生じていて、これで求める音が得られればそれでいいともいえるのだが、
厳密には極性だけを反転させたわけではないことはわかっておくべきだ。
システム全体が正相なのか逆相なのかで、
どのように音が変化するのかをおおまかに掴みたいのであれば、
スピーカー端子のところで反転させるやり方を、こんなことを書いている私でもすすめる。
ただ、それでも……、といいたいわけである。