D130とアンプのこと(その28)
私はD130を、いまいくつかの形式のアンプで鳴らしてみたい、と考えている。
市販のほぼすべてのパワーアンプでそうであることからも、
現代のアンプとして一般的な形式で定電圧駆動をひとつの基準としたうえで、
あえてD130が生れたころと同時代のアンプで鳴らすということ、
それから定電流駆動という選択も当然考えている。
定電圧駆動と定電流駆動の中間あたりに属するアンプもおもしろいと思う。
トランジスターアンプでも出力インピーダンスが高めで、ダンピングファクターが低めのもの。
市販されているアンプではファーストワットのSIT1が、これに相当する。
出力インピーダンスが4Ωだから、16ΩのD130に対してはダンピングファクターは4になる。
真空管のOTLアンプも考えられるが、
年々夏が暑くなっているように感じられる昨今では、
あの熱量の多さを考えると、やや消極的になってしまう。
それからヤマハのAST1で聴いた負性インピーダンス駆動とバスレフ型の組合せがもたらした、あの低音の見事さ。
ASt1を聴いた時から考えているのが、負性インピーダンス駆動とバックロードホーン型の組合せである。
AST1において負性インピーダンス駆動をON/OFFすると、低音の表情は大きく変化する。
この音の変化を聴いている者には、負性インピーダンス駆動とバックロードホーンの組合せが気になって仕方がない。
必ずしも、うまくいくとは思っていない。
失敗の確率もけっこう高そうではあると思いつつも、一度は試しておきたいパワーアンプの形式である。
どれがD130+バックロードホーンに最適となるのかは、
他の要素も絡んでくることだからなんともいえないことはわかっている。
それでも、実際にこんなことを試していく過程で、
これまで見落してきたこと、忘れてきたことを再発見できる可能性を、そこに感じてもいる。
D130はもともと高能率で、それをバックロードホーンにおさめるのであれば、
パワーアンプにはそれほどの出力を求めなくてもすむ。
これは、いくつもの形式のアンプを試していく上でも大きなメリットになる。