岩崎千明氏のこと(その23)
「音に対決する」といったような息づまる聴き方──、サウンド誌No.7に、岩崎先生は、こう書かれている。
ここにも「対決」ということばが出てくる。
この項の(その1)に引用した
「自分の耳が違った音(サウンド)を求めたら、さらに対決するのだ!」という岩崎先生のことばがある。
対決するにあたって、岩崎先生にとってどうしても必要だったのは、
雑念を浮かべることさえ不可能な大音量であったと思う。
対決に邪魔なのは、いうまでもなく雑念である。
雑念まじりで対決しようものなら、あっけなく負ける。
そういう聴き方を岩崎先生は、ずっとされてこられたのだろう。
だから対決するような音楽ではない場合には、小さな音で聴かれたのだろう。
それでは、なぜ、岩崎先生は対決されたのか、が残る。