岩崎千明氏のこと(その22)
小さな音量で、小さい音をはっきりと聴きとるには、スピーカーに近づけば、いい。
たしか、そんなことを以前、どこかに書かれていた。
ということは、岩崎先生にとって大音量は、
小さい音(細かいところ)まではっきりと聴きたいためだけではないことがわかる。
なんのための大音量なのか、を、あらためて考えてみたい。
ステレオサウンド 38号で語られている。
「インストゥルメンタルのときは、確かに普通のひとよりも大きな音量で聴いています。かなり昔からそうです。たとえば、ジャズを聴くのだったら、15インチのスピーカーでなければ絶対にダメだと、ずいぶん昔から思っていた。」
そして38号の訪問記事のなかには、こうある。
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大音量で鳴らされるジャズに、しばらく耳を傾ける。いや、その音は、耳を傾けるなどという趣きではなく、ただひたすら聴いているほかにはいかなるてだてもないほどだ。しかし、雑念を浮かべることさえ不可能なその大音量ぶりは、官能的といいたいような快感をよびおこしてくれたのである。