the Review (in the past) を入力していて……(その28)
いちどかぎり、その場かぎりの演奏と、工業製品のあいだに、そういう共通性はないのかもしれないが、
それでも、クレルのPAM2とKSA100の、ごく初期のモデルを聴いていると、こじつけと言われようが、
やはり共通するものがある、と言いたい。
初期のクレルのアンプのフロントパネルは、シルキーホワイトと呼ばれるキメの細かいアルマイト処理が施され、
鳴ってきた音も、まさにフロントパネルの印象にぴったりの音で、
正直、トランジスターアンプから、こういう音が出るようになったんだ、と、
その音の素晴らしさに魅了されるだけでなく、驚いたことを、いまでもきっきりと憶えているほどだ。
しかし、このシルキーホワイトのフロントパネルは、しばらくしたらなぜか変更されてしまった。
一時期、青が濃いパネルになったときもある、なんとなく初期のモノに近いパネルにもどったときもある。
とにかく製品が入荷するたびに、パネルの処理が変わっていく、そんな感じだった。
当時は、理由がわからず、なぜ、最初のパネルに戻さないのか、不思議だったし、
パネルの変化とともに、型番は変わらなかったが、音の印象も微妙に変っていったように感じていた。