Date: 7月 17th, 2012
Cate: D130, JBL
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D130とアンプのこと(その19)

アンプとスピーカーの関係について考えてゆくにつれて感じているのは、
現状の、定電圧出力のパワーアンプと、定電圧駆動を前提としたスピーカーシステムの組合せだけでなく、
もういちど定電流出力のパワーアンプによるスピーカーの駆動を再検討してみるべきではないか、ということ。

電圧をパラメータとする電圧駆動、それに電圧伝送が、オーディオの世界では標準の方法として定着している。
それでも電流をパラメータとしたオーディオ機器が、これまでにも登場している。

私がオーディオに関心をもちはじめた1976年以降の製品だけにしぼってもいくつかある。
まずヤマハのヘッドアンプのHA2がそうだ。
ヘッドシェルにヘッドアンプの初段のFETをとりつけることで、
MC型カートリッジの出力電圧を電流変換してヘッドアンプ本体まで伝送していた。

その次には登場したのはビクターのコントロールアンプのP-L10がある。
P-L10は、ヤマハのHA2のように見た目ですぐに特徴的なところがあるアンプではない。
けれど、このコントロールアンプは内部では電流伝送を行っていた。
おそらくビクターではパワーアンプとの接続に関しても電流伝送を実験していた、と私は思っている。
けれどコントロールアンプとパワーアンプをペアで必ずしも購入されるわけではなく、
他社製のパワーアンプやコントロールアンプと組み合わされることのほうが実際には多いのかもしれない。
だからコントロールアンプ・パワーアンプ間に電流伝送を搭載するということは、
他社製のオーディオ機器との使用を考慮すると、そういう冒険はやりにくい。
だからP-L10内部だけの電流伝送にとどまったのではないだろうか。

そう考えるのには、ひとつ理由がある。
ビクターが1978年ごろに発表したスピーカーシステムの試作品が、それである。
試作品だから型番はなく、たしかStandard Speaker Systemと呼ばれていた。

卵形のエンクロージュア平面型のスピーカーユニットを納めた、この3ウェイのスピーカーシステムは、
3台のパワーアンプを内蔵したマルチアンプ駆動てある。
そしてそれぞれのアンプは、すべて定電流駆動となっている。
ウーファーに関しては、さらにMFBもかけられている。

このStandard Speaker Systemは市場に登場することはなかった。
このStandard Speaker Systemのコンセプトを受け継いだスピーカーシステムも現れなかった。
けれど、いまビクターのサブウーファーのSX-DW77はDクラスアンプによる定電流駆動となっている。

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