the Review (in the past)を入力していて……(続×六・作業しながら思っていること)
トリオのKA7500はいつ登場したのか、ステレオサウンドのバックナンバーを手にとってみた。
35号のトリオの広告に出ている。だから1975年6月には市場に登場していたことになる。
ステレオサウンドの記事に出たのは36号の井上先生による新製品紹介のページにおいて、である。
KA7300は、というと、広告ではステレオサウンド 36号で登場し、
記事では37号の、やはりこちらも井上先生による新製品紹介のページに出ている。
ステレオサウンドの広告からだけでは、正確な発売日まではわからないものの、
KA7500登場の2、3ヵ月後にはKA7300が登場している。
35号、36号、37号は1975年発売のステレオサウンドである。
発売時期が近いためであろう、
KA7500とKA7300のパワーアンプ部はどちらもモジュール化されている。
KA7500に搭載されているモジュールの型番がTA100W、KA7300に搭載されているのがTA80Wで、
内部の回路構成と同等と思われ、型番の数字が表すようにパワーの違いだけとも思える。
つまりKA7500もKA7300もパワーアンプ部に関しては、まったくとはいわないものの、ほぼ同じである、といえる。
にも関わらず、このふたつのプリメインアンプの音楽表現は、異るわけだ。
こうなってくると、KA7500の開発・設計担当者が、
開発・音決めのときに、彼がのめり込んで聴いていたブラームスの交響曲とヴァイオリン・ソナタは、
誰の演奏によるものだったのか、と、やはり想像してしまう。
1975年に登場しているわけだから、
KA7500の担当者が恋に悩んでいたのは1974年、1973年ごろということになる。
このころ日本で手に入れることのできたブラームスの交響曲、ヴァイオリン・ソナタのレコードは、何があったか。
カラヤン/ベルリン・フィルハーモニーは1977年、78年だからまだ登場していない。
バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニーのレコードも、もちろんまだである。
ヴァイオリン・ソナタはどうだろう。
グリュミオー/シェベックのレコードも間に合っていない。
ズッカーマン/バレンボイムが1974年で、ぎりぎり間に合っているかどうかだ。