オリジナルとは(その23)
アナログプレーヤーとテープデッキを対比してみると、
アナログプレーヤーのカートリッジはテープデッキのヘッドである。
モーターはアナログプレーヤーにもテープデッキにも欠かすことのできない重要なパーツである。
アナログプレーヤーのターンテーブルは、テープデッキ(オープンリール)ではリールだろう。
トーンアームがキャプスタンか。
テープデッキの再生用アンプが、アナログ再生でのフォノイコライザーにあたるわけだが、
再生用アンプがコントロールアンプからテープデッキに統合・搭載されるのがごく当り前の流れとなったのに対し、
フォノイコライザーはコントロールアンプにずっと搭載されたままだった。
なぜフォノイコライザーは、コントロールアンプ(またはプリメインアンプ)の中に存在し続けたのだろうか。
カートリッジの出力レベルは低い。
MC型カートリッジで、しかも低インピーダンスで鉄芯を省いた空芯型ともなれば、さらに低くなる。
まさしく微小信号であり、RIAA録音カーヴにより低域では加えてレベルが低くなる。
この微小信号をトーンアームのパイプ内の細いケーブルを通し、
トーンアームの出力のところから出力ケーブルが延びている。
ヘッドシェル内に昇圧トランスを内蔵したオルトフォンSPU-GTは特殊な例で、
それ以外のカートリッジは微小信号のまま、アンプまで伝送するという、不合理性が残ったままである。
ヤマハが発表したヘッドアンプHA2は専用ヘッドシェルが付属していて、
ヘッドシェル内にヘッドアンプ初段のFETを収め電圧−電流変換を行い、
ヘッドアンプ本体まで電流伝送するという、微小信号の扱いに配慮した製品だった。
最近では同様の手法を、DCアンプの製作者として知られる金田明彦氏が無線と実験に発表されている。
微小信号は、さまざまな影響を受けやすい。
接点の汚れや接触の不完全さ、外来ノイズ、それにケーブルそのものの影響も、
レベルの高い信号よりも受けやすいのは当然といえる。
いまはどうなんだろう──。
ずっと以前はトーンアームの出力ケーブルは、
MM型カートリッジ用とMC型カートリッジ用をきちんと用意しているメーカーがいくつかあった。
MM型用は静電容量の少ないもの、MC型用は直流抵抗の低いもの、とわけられ、
本来ならばカートリッジをMM型、MC型の両方を交換して使うのであれば、
交換のたびごとに出力ケーブルも交換したほうがいい(プレーヤーによってはひどく面倒なものもあるけれど)。