オリジナルとは(その22)
国内メーカーは総合メーカーと呼ばれるだけあって、
いくつものメーカーが、カートリッジからフォノイコライザーまで揃う。
たとえばテクニクス。
ターンテーブルは、有名なSP10がある。専用ベースのSH10B3がある。
開発時期は後にずれているがトーンアームにはEPA100があり、
カートリッジはそれこそいくつもの機種が存在するが、
EPA100と同時期に登場し型番的にも組み合わせることを前提としていると思われるEPC100Cがある。
これらの組合せがテクニクスによる、1970年代後半のアナログプレーヤーのひとつのかたちと受け取っていい。
フォノイコライザーは、どうだろう。
単体のフォノイコライザーは同時期に発売されていないから、
コントロールアンプに搭載されているフォノイコライザーを対象とするわけだが、
この時期のテクニクスのコントロールアンプには、SU-A2とSU9070IIがある。
価格は前者が160万円で後者が12万円と大きな差がある。
SP10MK2は15万円、EPA100とEPC100Cはどちらも6万円、SH10B3が7万円だからトータルで34万円。
価格的にはSU9070IIのほうが近くても、トップモデルということではSU-A2か。
SP10MK2+EPA100+EPC100C+SH10B3の組合せに、SU-A2をもってきてもSU9070IIをもってきたとしても、
そこにコンプリートされたという印象は、ほとんど感じられない、というのが正直な感想。
これはなにもテクニクスだけにいえることではない。
デンオンには有名な、誰でも知っているDL103があるけれど、
このDL103の本領を発揮するためのプレーヤーシステムということになると、
いったいどういうシステムになるのだろうか。
ターンテーブルは? トーンアームは? フォノイコライザー(コントロールアンプ)は?
(デンオンには業務用のプレーヤーが存在しているから、この機種がそうなるのか。)
デンオンにはDP100にストレート型のトーンアームを搭載したDP100Mというプレーヤーシステムがある。
このDP100Mの登場は1981年ごろ。トーンアームの造りをみてもDL103というよりも、
軽針圧のDL303、DL305のほうが適しているように見える。
フォノイコライザー(コントロールアンプ)はPRA2000ということになるのか。
こんなふうにビクターは? ヤマハ? Lo-Dは? トリオは? マイクロは?……と考えていっても、
EMTの930st、927Dst、928といったプレーヤーシステムが使い手に与えるコンプリート感は稀薄である。