「ラジカセのデザイン!」(続・余談)
JBLに4411というブックシェルフ型があった。
1982年に登場した4411は、
前年に登場したバイラジアルホーンを採用した4430、4435からなる4400シリーズの第3弾であるが、
初のブックシェルフ型であり、4400シリーズ初の3ウェイでもあり、
中高域にコーン型とドーム型を採用している点も、4430、4435とは異る点ももつ。
4411が登場したときには気がつかなかったし、まったく考えもしなかったことだが、
いまになってみると、この4411ほど本棚に収めて使うに最適のスピーカーシステムは、他に思い浮ばない。
重量が24kgがやや重たい気もするけれど、
ブックシェルフ型スピーカーの元祖ARを代表するAR3aの重量もまた24kgだから、
やわな本棚では無理であっても、丈夫な造りの本棚であれば重量の問題はないだろう。
そして4411は横置きのブックシェルフ型である。
AR3aもやはり横置きで使うことを前提としている。
横置きのブックシェルフ型は、ある面使いにくい。
4411はステレオサウンド 64号の新製品のページに登場している。
1982年ごろのブックシェルフ型スピーカーのスタンドは、いくつか出ていたものの、
大半は角形の鉄パイプを使ったもので、しかもキャスター付きで、
いまのように音質的配慮のなされたものはまったくなかった、といえる。
いまでこそ小型スピーカー用、ブックシェルフ型スピーカー用に各社からさまざまなスタンドが出ているし、
スタンド専門メーカーまで存在しているけれど、
スタンドによる音質への影響が頻繁に語られるようになり、そういうスタンドが登場してくるようになったのは、
4411の登場の数年後のことである。
もっともスタンドが豊富にあるいまでも、
4411のようなサイズの横置きのスピーカーシステムのセッティングに向くものは少ない。
1982年に、4411の試聴を担当された井上先生がどうセッティングされたかは64号を見ていただくとして、
この4411の、一般的なセッティングでの使いにくさが、本棚に収めてしまうと反転してしまう。
それに本棚に収め、空いているスペースに本を隙間なく収めてしまうと、
それに本棚は大抵の場合壁に付けられているから、スピーカーを囲う空間としては2π空間となる。
実際にこういう条件で鳴らしたことがないのではっきりしたことはいえないけれど、
4411のレベルコントロールが、面白さを加えてくれるはずだ。