使いこなしのこと(その8)
インターナショナルオーディオショウのブースは、音響処理が施されているわけでもないし、
あれだけ広く大きな施設だから、電源事情もあまりよくないと言われている。
しかもショウの前日に器材やらを搬入してセッティングして、というように時間の余裕はそれほどない。
だからいい音なんか出せるわけない、とは、少なくとも、どのブースのスタッフも、口にしないはずだ。
どのブースも、スペースの大小はもちろんあるが、基本的な条件は同じ。
そのなかで、毎年の経験を積み重ねていくことで、それぞれにコツを掴んでいるのだろう、
ショウの期間中、聴き惚れる音を出してくれるところが、いくつか出てきている。
スピーカーが毎年同じモノなら、音出しの苦労もすこしは軽減されるのだろうが、
ショウは新製品のお披露目の場でもあり、ぎりぎり間に合ったというスピーカーもある。
そういうスピーカーでも、ごく短時間のうちにセッティングしなければならない。
セッティングし音出しをしていく過程で、スピーカーの素性を捉えていく作業が要求される。
しかもスピーカーのセッティングに、定石はない。
せいぜい左右のスピーカーの条件をできるだけ揃えることと、
ガタつきなくセッティングすることであろう。