使いこなしのこと(その9)
たとえばコンデンサー型スピーカー。
一般には、後面からも音を放射しているため、
できるだけ後面の壁からは距離を取り、というふうに言われてきている。
QUADのESLを、約5.5畳ていどの狭い部屋で聴いた経験から言えば、必ずしもそうでもないよ、と言いたい。
瀬川先生の影響もあって、まずスピーカーは、部屋の長辺の壁側に置く。
できるだけ左右のスピーカーの間隔を広げたいためでもあり、
私の経験でも、そんなに多くの部屋で鳴らしているわけではないが、
やはり部屋を横長に使ったほうが、低音の鳴り方の自然さ、伸びやかさを含め、好結果が得られる。
だから、ESLも、そのように置いた。だからESLの内側の縁は、
ほとんどスピーカー後の壁にくっつくかどうかのところまで、近づけて置くしかなかった。
このときの音を実際に聴いていない人は、この置き方をみただけで、ひどい音がするんだろうな、と判断するだろう。
でも、くり返しになるが、スピーカーの置き方に定石はない。
ESLは、実に伸びやかな音を鳴らしてくれた。
このとき使っていたパワーアンプはSUMOのThe GOLDである。