Date: 9月 4th, 2011
Cate: BBCモニター, LS3/5A
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BBCモニター考(LS3/5Aのこと・その5)

メリディアンのM20はパワーアンプ内蔵の、メリディアンがアクティヴラウドスピーカーシステムと呼ぶもので、
使用ユニットはウーファーが11cm口径のベクストレン・コーン型、トゥイーターは35mm口径のソフトドーム型で、
トゥイーターを2発のウーファーで挟み込むインライン配置、つまり仮想同軸配置を採用している。
内蔵パワーアンプはウーファー用が70W、トゥイーター用が35Wの出力によるバイアンプ仕様。

見た目はこれといった特徴的なところはない、地味な印象のほうが強いスピーカーシステムだから、
期待はほとんどしていなかった。
だから、音が鳴ってきた瞬間に、M20が醸し出す、いい雰囲気の音に、どきっとした。
LS3/5Aの音をスケールアップした音が、いまここで鳴っている──、
その事実に、とにかく嬉しくなった。

実は試聴の前に、サランネットを外してユニットを見たわけではなかった。
もともと期待していなかったスピーカーシステムだったから、
サランネットを外すことなく音を聴くことになったわけで、だからこそ驚きは大きかった。

試聴が終り、好奇心からネットを外すと、そこにはLS3/5Aで見慣れたウーファーがあった。

ウーファーのメーカーについては発表されていないが、あきらかにKEFのB110である。
LS3/5Aと同じウーファーを奥行きが38cmと、かなり深いバスレフ型エンクロージュアにおさめている。
内容積は、LS3/5Aにくらべかなり余裕をもったものとなっている。

トゥイーターはLS3/5Aに搭載されているKEFのT27ではないが、
これも見た目から判断するとKEFのユニットだと思われる。

KEFの105のような厳格さは、メリディアンのM20にはない。
もっと音楽を楽しんで聴く、という目的のためには、
結果として、わずかな音の演出を認めているようにも聴き手には感じられるM20の音は、
艶っぽく、底光りする音で、品位も高く、LS3/5Aには求められなかったスケール感がある。

そのスケール感は大型フロアー型のようなスケールの大きさではないけれど、
当時(1980年代まで)のイギリス的な家庭で楽しむ音量としては、充分なスケールがあった。

いま、この音を聴かせてくれたM20(現物)を、そのまま持ち帰りたくなるくらい、
私にとってはLS3/5Aの、正しく延長線上にあるスピーカーシステムだった。

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