モノと「モノ」(その7)
いま市場に流通しているLPは、新譜LPの生産量が前年よりも増したとはいえ、割合としては中古盤が圧倒的に多い。
1948年に最初LPが登場して、いったいこれまでにどれだけのLPがプレスされ流通したのかは、
とにかく厖大な枚数ということしか、私にはいえない。
その厖大な枚数のLPは、新譜として登場したときには、どれもさほど変らない価格がつけられていたのに、
発売後、20年、30年、40年……と経つうちに、中古価格という、市場がつける価格には大きな差が開いてきた。
国内盤のクラシックLPはいまや買取時に値がつかないものが多い、ときく。
タダでも引き取らない店もある、ときいている。
一方で「オリジナル盤」とか「初期LP」と呼ばれるものは、相変らず高い値段で売買されている。
この価格の差には、「音楽の値段」が反映されているのだろうか。
そうだといいたいし、そういえるような気もしなくもないが、
それでも「レコードの値段」から解放されている、とは言い切れない。
むしろ稀少盤として、モノとしての「レコードの値段」の側面が強くなっている、ともいえる気がしてならない。